
「不可逆少年」ネタバレなし感想文
ふと五十嵐律人先生の「不可逆少年」を思い出したのでお勧めがてら読んた当時に考えたこと、感じたことを書いてみます。
五十嵐律人先生の作品は、一貫して「正義とは何か」「人を裁くとは何か」を問うています。ご本人が法廷書記官を経て弁護士としてご活躍なさっていることが大きいと思われますが、作品を読めば読むほど弁護士五十嵐律人がどんな矜持を持って様々な案件に向かっていらっしゃるのかがとてもよくわかります。
そういう意味でも、非常に尊敬できる先生です。
五十嵐律人作品はデビュー作の「法定遊戯」、「幻告」、「原因において自由な物語」、「魔女の原罪」を読了しています。どの作品も社会的な正義、人の感情と犯罪、法律の存在意義を考えさせるような物語です。
この作品はそこに加えて、人間の脳の複雑さやそんな複雑な人間が集まって作る社会の問題を至近距離で見させられる感覚がありました。
設定そのものも衝撃的ではあるものの、その後もラストまで自分の感情に振り飛ばされないようにしがみつくような読書体験でした。ただショックを与えるだけの華美な演出や設定というより、先生が問いたい本質のための設定という印象。極論、ここまでの状況で誰が何を許し誰が何を裁けるのかと言われているような。
小林由香作品と似通ったテーマですが、アプローチの仕方が全然違うので小林由香作品が好きな方にも「不可逆少年」は「刺さる」と思います。
ネタバレ一切しないオススメ書評なので何が何だかわからないと思いますが笑、社会について、善悪についてを考えたい人は五十嵐律人作品、本当にお勧めです。「法廷遊戯」の衝撃から作家読みをして大正解でした。
その中でも「不可逆少年」は一読の価値あり。「幻告」もエンタメ性が強くて一気読みしてしまうおもしろさが他の作品との違いでしたね。
読んだのは1年くらい前なのに、考える度に思い出す度に、未だに新鮮な感情が湧いてきます。しばらく読めていないので、一区切りついたら最初に五十嵐律人作品を読もうかな。やっぱり好きなんだ、この人の「罪を憎んで人を憎まず」の信念が。