メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byugto310

せめて自分を消耗させ過ぎないで

     文学少女だった中学生の頃、何故かやたらと生や死、そして人生とは?なんて事を日々考えていた。
     武者小路実篤の『人生論』やジイドの『狭き門』など、小難しい本ばかり読んでいたし、学級委員だった私は、クラスの読書会で森鴎外の『高瀬舟』を選んで安楽死について熱弁したりしていた。

     そして「人は何故生まれてくるのか?」と考え続けて、結局すごくシンプルに「幸せになる為」と結論付けた。

     なのでその後の私は、「やりたい事は諦めずにやる」「やりたい事のための我慢以外の我慢は極力しない」と決めて生きてきた。
     とかく人生は、不条理なことや理不尽なことが多くて、思い通りにならない事ばかりだけど、それでも少しでも自分が幸せだと感じられる方向に向かうべく生きてきた。

     そんな自分が60歳を過ぎて、自分の人生を振り返ってみたところ…満足はしているけど、あんまりカッコ良くはないなと苦笑してしまった。
     自分の生きてきた歴史に後悔はほぼないけど、他の人に比べたらあまりカッコ良くはなかったなぁと、ふとフラットに思ったのだ。

     いくつかのVoicyを聴いていて、「自分で背負い過ぎる人が多いなぁ」と感じた。
     
     シングルマザーの方々の話しでも、私も一応シングルマザーではあったけど、世間一般的なシングルマザーにカテゴライズしてはいけないと思った。
     私は結婚生活中には精神的な苦労があったけど、別れてから一般的なシングルマザーと同じような苦労は全くしておらず、シングルマザーとしての頑張り方が全然違うのだ。

     結婚に限界を感じても、子供を連れて家を出る事はなく、夫の方に出て行ってもらったし、養育費はしっかりといただいていた。
     「必ず幸せにするから」と言われて結婚した結果、夫の態度が変わったのは契約違反なのだからと、当然な権利の主張は本当に頑張った。
     でも世の中には、そこに労力を使うのを諦めてご自身で頑張られるシングルマザーの方が圧倒的に多く、客観的に見てそっちの方がカッコ良く見えたりして、自分はあまりカッコ良くはないなと思った。

     最近見たNetflixで話題になった細木数子をモデルにしたドラマ『地獄に落ちるわよ』にも、WOWOWでドラマ化された『東京貧困女子-貧困なんて他人事だと思っていた』にも、取材するライターとして働くシングルマザーが登場するけど、離婚しても夫の援助に頼らずに奮闘している。
     世間には、夫に養育費や慰謝料を求めることもできない厳しいパターンの離婚は多い。
     でも、この二つのドラマのシングルマザーは、自分のプライドが許さないからと、夫を頼らずに、自分の母親に頼りつつ精一杯働いて頑張っている。

     自分をバカにした夫なんかに頼らずに、自分で働いて子育てしている二人を見て、一見はカッコ良くは見える。
     でも、そのプライドは子供や母親に皺寄せがいっている。
     子供が独立して穏やかな老後を送りたかった母親は、毎日孫の面倒を見させられているし、親の貧しさは子供にも我慢という形で受け継がれていく。
     そして、自分にとっては許せない夫でも、子供にとっては父親であって、子供に父親としての役目を果たしたいという思いを、むげにしてもいいのだろうかとも思った。

     介護に関しても、行政やプロに頼らずに頑張る方々が多い。
     でも私は、両親の介護に関しても、プロの力を存分に借りた。
     私は夫と別れた後、色々と資格を取ったのだけど、介護職員初任者研修の資格も取得していたので、使えるサービスはできるだけ使った方が、介護される側にもする側にとっても良いなと感じた。
     他人だから距離感が保てているし、親子共々ストレスを感じることが少なかった。

     だから、あまりプロのお世話にならずにご自分で介護された方々とは、同じ土俵じゃないし、そこでもやっぱり自分はあんまりカッコ良くないなと感じていた。

     それでも私は、過去に戻ったとしても、離婚も介護もカッコ良くはない方を選ぶ。
     何故なら中学生の頃から「人は幸せになるために生まれてきた」と思っているから。

     そして、私が「人は幸せになるために生まれてきた」と思い続けてきたのは、親に甘えられない子供だったからだ。
     義祖母のつくった借金返済で苦労した両親の姿を見ていたから、甘えることができなかった。
     でも、親に甘えられない子供だったからこそ、自分自身を幸せにできるのは自分だけだという信念が持てたし、自分が不幸を背負い込むことで、家族に皺寄せがいかないようもできたと思っている。

     世に中には、本当に真面目な人が多くて、みんな頑張っていて、我慢する事に慣れさせられている人が多いけど、自分の我慢が他者にも我慢を強いている事もあるから、カッコ良くなくていいから、我慢はやめた方がいい。
     でも、社会という集団の中で生きるには、我慢しないという選択が難しいこともわかってる。

     だからせめて、「自分を消耗させ過ぎないで」と、心から思う。

     
     最後までお読みいただきありがとうございました。

     



     
     
    エンタメ、エステ業界を経て隠居生活。執筆&ゴルフ&timeleszの推し活に明け暮れつつ、人生最終戦、思い残すことのないよう駆け抜けたい所存でございます。 どうぞよろしくお願いします。

    あなたへのおすすめ