
【根拠あり】遊び×リハビリの科学——なぜOTは遊びを選ぶのか?
InstagramとTheredsで『OTが遊んでいる』と言われる件について投稿した所、かなりの反響がありました。
同じように悩んでいる方も多くいた事で、私自身複雑な思いになりました。
そこで今回、『遊び(作業療法の重要な介入手段)』という要素がリハビリテーションにおいて必要なのか…という点についてまとめてみました!
① なぜ「遊び」をリハビリに取り入れるのか?
・ 従来のリハビリの課題(継続の難しさ、モチベーションの低下)。
・「遊び」を取り入れることで期待されるメリット。
・「楽しいこと」が脳や身体の回復にどう影響を与えるのか。
ここを中心にまとめていきます!
② 最新研究が示す「遊び×リハビリ」の効果
遊びがリハビリテーションにおける動機付けと治療効果向上にどのように貢献するかを論じています。特に、ゲーム要素を取り入れた治療(ゲーミフィケーション)が、患者のモチベーションを高め、治療の効果を向上させる可能性があることを示唆しています。
この論文のように、『遊び』を取り入れることで介入の効果を上げる可能性を示しています。ただ現場では、『OTはなんで機能訓練をせずに遊んでるのか?』という厳しい(?)意見が多く見られます。
私はInstagramで脳画像の発信をしています。
今まで脳卒中の方を担当するにあたり、一番難しく感じていたことがあります。
それが【モチベーションの継続】です。
急性期では治療効果とともに、改善の幅が大きいです。
しかし徐々にリハビリをしても効果が感じられない時期が来ます。
そこでモチベーションの低下が大きくなるのです。
ではどうするべきか?ここを考える事がOTの役割だと考えてます。
脳卒中による片麻痺の上肢リハビリでゲーミフィケーションを導入した研究。1週間の実施後、従来のリハビリよりも楽しさとモチベーションが向上し、治療の継続意欲が高まることが確認された。
※ゲーミフィケーションとは:ゲームを本来の目的としないサービス等にゲーム要素を応用することで、利用者の意欲の向上やロイヤリティーの強化を図ること
上記は2024年の最新論文ですが、遊びの要素を加えることでモチベーションの増加に繋がるとされています。
機能訓練もめっちゃ大事です。これに否定は全くありません。
けど皆さんは、病気・けがをしてからの長いリハビリを経験した事ありますか?
私はあります。
もう10年前ですが、駅の階段から転げ落ちて肘の筋・靭帯損傷によって肘関節90度から全く動かなくなりました。痛みもNRS10どころではなかった…

自力でリハをしてましたが、とにかく機能訓練を中心にやってました。
しかし一向に良くならないし、何も楽しくない。洋服を着るのも10分くらいかかる。正直うつ病一歩手前までいってたと思います。
そんなとき『一回諦めよう』と思ったんです。
機能訓練をやめて、自分の好きなこと(ゲーム)をリハビリにしようと考えました。
詳細は省きますが、今では正常可動域まで改善しました。
今考えると私が選択したゲームの要素の中に【機能訓練】も入っており、それがうまくはまって【モチベーション向上】と【リハ継続】に繋がったと考えてます。
少し長くなりました。
プロのサッカー選手であっても、地道なトレーニングをしているわけではありません。時々『遊び』を取り入れた練習をしている様子をテレビで見た事ありませんか?
それくらいモチベーションの継続が難しいのです。
だからこそ、リハ・医療・介護には【遊び】の要素が必要不可欠なのです。
③ 具体的な事例・実践方法
例えば【遊び】を取り入れた介入とはどんなものか?
脳卒中後の半側空間無視を例にして、解説します!

これはめちゃくちゃやってました!
導入のしやすさもそうですが、半側空間無視だけでなく麻痺側上肢の参加を促すにもピッタリなものだと考えます。
もちろん半側空間無視の評価をした上で、どの範囲であれば左空間への参加を促せるかを考えた上で導入します。患者さんの眼球+頭頚部の動きも観察できるので、万能なアクティビティだと考えてます!

座位で転倒リスクがある方には、こちらの机の上でできるカードゲームがおすすめです。ただ半側空間無視は注意障害も併発しているパターンが多いので、導入や設定などは慎重に行うべきです。
日本で最初のトランプの製造は、1902年(明治35年)に任天堂によって行われたみたいですね!それだけどの世代にもカードゲームは受け入れやすいものだという事です…
④「OTは遊んでいるだけ?」という批判への反論
(1) OTが「遊び」を取り入れる理由
• 作業療法(Occupational Therapy, OT)は「作業(活動)」を通じて心身の機能回復を促す。
• 「遊び」はOTにとって、単なる娯楽ではなく、目的を持つ「作業」の一つ。
• 科学的にも、モチベーションを高める要素が改善効果を向上させることが証明されている。
研究では、OTが「遊び」を取り入れることで、患者の社会参加を促進し、生活の質(QOL)を向上させることが示されている
(2) 「遊んでいるように見えるリハビリ」こそが効果的
• 「リハビリは辛いもの」という固定観念が誤解を生む
• 遊びを取り入れることで、患者のストレスが軽減し、より積極的にリハビリに取り組むことが可能。
• 結果として、長期的な機能回復が期待できる。
• 実際のリハビリ現場では厳密な評価と計画に基づいて実施されている
• 「アート」では、手指の巧緻性や認知機能の改善を狙う。
• ただの「遊び」ではなく、科学的根拠に基づいた活動。
(3) 他職種との連携が重要
• リハビリはOT単独で行うものではなく、PT(理学療法士)やST(言語聴覚士)、医師、介護士などとの連携が重要。
• OTが遊びを取り入れることにより、他職種とのコミュニケーションが円滑になり、患者の「生活」に直結する機能回復が可能になる。
まとめ:遊びは本当にリハビリに効果があるのか?
『OTは遊んでいる』のではなく、患者さんが前向きに取り組める方法を一緒に探しています。
そのためには、OT単独ではなく、多職種がそれぞれの強みを生かして連携することが不可欠です。
明日から、一緒に働く仲間に「お互いの専門性を活かして患者さんを支えよう」と声をかけてみませんか?その小さな一歩が、患者さんの目標達成につながります。