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〜第50夜〜「ずっといたんです、そこに」



    はじめに


    あのぉ……
    皆さん……文化祭って、覚えてますよねぇ……えぇ。
    賑やかで……楽しくて……
    教室の飾りつけだとか、模擬店だとか、思い出がたくさん詰まってる……
    そんな行事じゃないですか……えぇ……

    でもねぇ、
    「文化祭」って……“何か”が混ざり込んでしまいやすいんですよ……
    あぁ……人の気配と、そうじゃない“気配”が……入り混じっちゃうんですよ……えぇ……

    そんな話をね……今日はひとつ……
    聞いていただけますかねぇ……

    本編


    これ、ある学校の文化祭での話なんですがね……
    あの、3年のあるクラスがね……“お化け屋敷”をやったんです……
    まぁ、よくあるでしょ?えぇ……廃墟風に飾ってねぇ、暗幕張って、音響仕掛けて……
    まぁ、よくできてたらしいんですけどね……えぇ……

    ただね……その中で……
    「お化け役の一人が、異常な体験をした」っていうんですよ……

    ──黒子として中にいた生徒がね……
    「誰かがじっと見てる」って……言い始めたんです……
    あの……お客さんが来てない時間なのに、
    暗がりの奥に“ずっと女の人がいる”って……

    最初はね、
    「誰かのいたずらじゃないの?」って笑ってたらしいんですよ。
    でも……その“女の人”、ぜんっぜん動かない……
    それどころか……時間が経つごとに“近づいてきてる”って……言うんです……えぇ……

    その晩、設営後の見回りで先生が確認に来たらね……
    廃墟風の部屋の“中央のイス”に、
    誰かが座ってるんですよ……暗がりで、うつむいて……髪が長くてね……

    先生が「もう下校時間だぞ」って声をかけたんですがね……
    返事、しない……
    動かない……
    「おい……誰だ……?」

    近づいたその瞬間──
    スッ……と、消えたらしいんです……えぇ……

    でも……イスはまだ、温かかった……
    まるで、誰かがさっきまで……座っていたかのように……ねぇ……

    それ以降……
    そのお化け屋敷、妙な噂がたくさん立つようになって……
    「途中で記憶が飛んだ」だとか……
    「後ろから肩を掴まれた」だとか……
    「帰ってきたら腕に痣があった」……とかね……

    ……でも、文化祭が終わる頃には……
    皆、そのことを……あまり話さなくなった……

    というより、“話さないようにしてた”っていうかねぇ……
    そのクラスの子たち、みんなして……目を伏せるんですよ……えぇ……
    あぁ……なにか、あったんでしょうねぇ……

    ……文化祭って、
    “招かれざる客”まで呼び込んでしまうこと……あるんですよ……えぇ……


    あとがき


    あのねぇ……
    学校っていう場所は……
    “思念”がこもりやすい場所なんですよ……えぇ……
    青春だとか、葛藤だとか、喜びや涙が染み付いててね……

    そこに「非日常」が持ち込まれるとね、
    ふだん閉じ込められていた“何か”が……顔を出すことがある……
    それが、文化祭みたいな“特別な日”なんですよ……えぇ……

    ……皆さんの学校にも……
    残ってませんかねぇ……誰かが“見た”という話……

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