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忠誠―圌らは尜くしおいたのではない。回収を埅っおいた

    「なんで、あの人はあそこたでやるんだろう」

    若い頃、私は良くそう思っおいたした。

    報われおいない。
    圹職も䞊がらない。
    家にも、ろくに垰っおいない。
    それでも䌚瀟のために動き続ける人が、どの珟堎にもいたした。

    私は就職氷河期の生き残りでの珟堎を枡り歩いおきた人間です。
    燃えおいる案件の埌始末を䜕床もやりたした。
    その火の䞭に必ずそういう人がいたした。

    正盎に曞きたす。
    圓時の私は、その人たちを少し愚かだず思っおいたした。

    連茉第4回は「忠誠」です。

    そしお今回の蚘事は、私が間違っおいたずいう話です。


    . 「日本人は䌚瀟に忠誠を尜くす」を、私は疑っおいたせんでした

    たず、前提から厩れたした。

    ギャラップずいう調査䌚瀟が、䞖界芏暡で「仕事に意欲的か぀積極的に取り組んでいる人」の割合を枬っおいたす。

    日本はパヌセントでした。
    か囜䞭、䜍。
    䞖界平均はパヌセントです。

    䌚瀟に尜くすこずを生き甲斐にしおいる局は、日本の少数掟です。

    ここは正確に扱いたいので、留保を先に曞きたす。
    この調査が枬っおいるのは「仕事そのものぞの熱意」であっお、䌁業理念ぞの共感や垰属意識ずは別の抂念です。
    日本人の回答傟向極端な遞択肢を避けるも指摘されおいたす。

    だから、この数字から蚀えるのは、ひず぀だけです。

    党員が尜くしおいるわけではない。

    ぀たり、私が芋おいたあの人たちは、日本人の暙準型ではありたせんでした。
    䟋倖のほうだったのです。

    では、その䟋倖はどうやっお生たれたのか。


    . 厳しい新人研修が䜜るのは、忠誠ではありたせんでした

    私の仮説はこうでした。
    新人のうちに叩き蟌たれるからだ。

    これには、心理孊の叀兞的な実隓が察応したす。
    幎の研究です。

    恥ずかしい通過儀瀌を経お集団に入った人は、軜い儀瀌で入った人や、儀瀌なしで入った人よりも、その集団を高く評䟡したした。

    理屈はこうです。
    「あれだけ䞍快な思いをしおたで入った」ず「この集団は倧したこずがない」は、同時に持おたせん。

    人間は、この居心地の悪さに耐えられたせん。
    だから曞き換えやすいほうを曞き換えたす。
    入るために払った代償は倉えられないので集団の評䟡のほうを䞊げるわけです。

    この説明を知ったずき、私は膝を打ちたした。

    厳しい新人研修が䜜っおいるのは「深く考えない人」ではない。
    「あの苊劎には意味があったず信じる必芁がある人」なのだず。

    -. ずころが、远詊が再珟したせんでした

    ここで話が終われば、きれいな蚘事になりたす。
    終わりたせんでした。

    幎の远詊では、厳しい儀瀌が軜い儀瀌より高い集団同䞀性を生むずいう結果は、再珟されたせんでした。

    最も高い同䞀性を生んだのは、「軜い儀瀌報酬」の条件でした。

    別の珟地調査でも、厳しさ仮説は支持されおいたせん。
    そこで浮かび䞊がったのは、厳しさずは関係のない別の芁因でした。

    「運呜を共にした」ずいう感芚です。

      これは、私の実感ず合いたした。

    䌚瀟を蟞められなかった人たちが口にしおいたのは、䌚瀟ぞの愛着ではありたせんでした。
    同期です。
    あるいは、䞀緒に炎䞊案件をくぐった数人です。

    䜜られおいたのは、䞊に向かう瞊の忠誠ではなく、暪の぀ながりでした。

    暪を裏切れないから蟞められない。

    だいぶ違う話になりたす。
    䌚瀟が繋ぎ止めおいるのではなく、隣の垭の人が繋ぎ止めおいるのです。


    . 圌らは無報酬で尜くしおいたせんでした

    そしお、ここが今回いちばん曞きたかったずころです。

    幎功序列。退職金。䌁業幎金。

    この䞉点セットが䜕をしおいたのかを、はっきり蚀葉にしたす。

    若いうちは、生み出しおいる䟡倀より安い賃金で働く。
    埌幎、高い賃金ず退職金で回収する。

    埌払いです。

    ぀たり、あの人たちは無報酬で尜くしおいたのではありたせん。
    ただ支払われおいない分を、抱えおいたのです。

    そう読み盎すず、行動が党郚぀ながりたす。

    なぜ理䞍尜に耐えるのか。
    途䞭で降りるず、これたでの前払い分が回収できないからです。

    なぜ転職しないのか。
    転職した瞬間に、回収予定額がれロになるからです。

    なぜ埌茩にも同じこずを求めるのか。
    自分が払った前払いに意味があったこずにしたいからです。

    愚かなのではありたせん。極めお合理的な蚈算をしおいたした。

    私は、その蚈算匏を芋おいなかっただけでした。


    . 砎ったのは、どちらか

    問題は、この契玄が玙に曞かれおいないこずです。

    就業芏則には「幎埌に回収させたす」ずは曞いおありたせん。
    制床ず慣行ず、䞊の䞖代がそうしおもらっおきたずいう事実が、代わりに保蚌しおいたした。

    曞かれおいない契玄は、片方が黙っお降りられたす。

    そしお、実際に降りられたした。

    退職金の削枛。圹職定幎。
    早期退職の募集。
    「今期は厳しいから」で倉わる条件。

    第2回で匕いた䞀行を、もう䞀床眮きたす。

    賞を瀺しおおいお埌から惜しむ者は、人を䜿えなくなる

    『䞉略』䞊略

    賞しお埌に悔ゆる者は、士䜿われず。

    幎前の兵法曞が蚀い圓おおいるのは、たさにここです。

    圌らは怠けおいるのではありたせん。契玄を䞀方的に砎られた偎です。

    そしお、いちばん残酷なのは、砎られたずきには既に前払いが終わっおいるこずです。

    代ず代の安い賃金ず若さは、もう戻っおきたせん。
    回収するはずだった偎だけが消えたした。


    . 順序が逆でした

    もうひず぀、私の読み方が逆だったこずに気づきたした。

    私はこう思っおいたした。
    深く考えないから、尜くしおいるのだ。

    たぶん、逆です。

    考えないほうが粟神衛生䞊有利だから、考えおいない。

    考えおしたうずどうなるか。

    幎泚ぎ蟌んで身に぀けた技胜が、その䌚瀟の䞭でしか倀段が぀かない皮類のものだった、ず気づいおしたいたす。

    瀟内の誰ず話を通せばいいか。
    あの郚長の地雷はどこか。
    あの垳祚が、なぜあの圢なのか。
    党郚、倖に出た瞬間にれロ円になる知識です。

    出口の䟡倀がれロだず分かっおしたったら、内偎に意味を䜜らないず、自我が持ちたせん。

    だから、そこに眮くのです。

    生き甲斐は原因ではなく、結果でした。

    䌚瀟が奜きだからそうなったのではない。
    他に眮き堎所がなかったから、そこに眮いた。

      これを曞いおいお、私は自分がずっず倱瀌だったず思いたした。

    「あの人は䌚瀟に掗脳されおいる」ずいう読み方は、気持ちがいいのです。
    自分は違う、ず思えるからです。

    でも、その読み方からは䜕の打ち手も出おきたせん。
    出おくるのは「ああはなりたくない」だけです。

    「合理的に遞んだ結果、そこにいる」ず読めば、制床が倉われば行動も倉わるずいう予枬が立ちたす。
    予枬が立おば、倖れたずきに自分の間違いに気づけたす。

    第1回から繰り返しおいる話です。
    人を責めないのは優しさではなく、そのほうが圓たるからです。


    . この読み方は、倖れたら分かりたす

    ひず぀、自分に釘を刺しおおきたす。

    「埌払いの回収埅ちだった」ずいう読み方は、私にずっお郜合がよすぎたす。
    過去に倱瀌だった自分を、きれいに回収しおくれるからです。

    だから、倖れる条件を先に曞いおおきたす。

    この読み方が正しければ、回収の芋蟌みが最初から無い䞖代では、同じ行動は起きないはずです。
    前払いをしおいないのだから、抱えおいるものが無い。
    理䞍尜に耐える理由も、蟞めない理由も、消えたす。

    逆に、回収の芋蟌みが無いのに同じ行動が続いおいるなら、私の読みは倖れおいたす。
    そのずきは、埌払い以倖の䜕かが効いおいるこずになりたす。

    私はただ、この怜算をしおいたせん。
    しおいないので、答えを持っおいるふりはしたせん。

    ただ、倖れ方をあらかじめ決めおおけるずいう点で、この読み方は「あの人は掗脳されおいる」より扱いやすい。
    扱いやすさは、正しさずは別ですが、少なくずも自分の間違いに気づける圢にはなっおいたす。


    . この知芋が成り立぀条件は䜕か

    条件を぀けたす。
    今回は、ずくに厳しく぀けないずいけたせん。

    埌払い契玄ずいう読み方が成り立぀のは、「埌で払う」ず信じられる䜕かがある堎合だけです。

    制床でも、慣行でも、䞊の䞖代の実䟋でもいい。
    ずにかく、回収の芋蟌みが芳枬できる堎合に限りたす。

    芋蟌みが芳枬できないのに尜くし続けおいる人がいたら、それは埌払い契玄ではありたせん。
    別の䜕かです。その別の䜕かを、私はただ蚀葉にできおいたせん。

    もうひず぀、逆向きの条件もありたす。

    埌払いは、それ自䜓は悪い蚭蚈ではありたせん。

    若手の育成コストを組織が先に負担し、育った人が残るこずで回収する。
    理屈は通っおいたす。
    長く䞀緒にいるこずに意味がある仕事では、むしろ合理的です。

    壊れおいるのは蚭蚈ではなく、支払いのほうです。

    そしおここが倧事なずころなのですが、蚭蚈が悪いず読むず、埌払いを党郚やめる方向に手が動きたす。
    その先にあるのは、育成コストを誰も負担しない組織です。

    支払いが問題なら、支払える圢にするか、前払いに切り替えるかずいう蚭蚈の話になりたす。

    どちらが正しいかは、条件によりたす。
    それを次の最終回で、正面から扱いたす。

    次回は第5回、「士気」です。

    「指瀺埅ち」は性栌ではありたせん。この蚀い方を私は長く䜿っおきたしたが、幎に、提唱者本人たちが理論を匕っくり返しおいたす。


    . 出兞

    ※ 埌払い賃金契玄の理論的な定匏化に぀いおは、経枈孊に定説ずされる論文があるず理解しおいたすが、私自身が䞀次資料で確認できおいないため、本文では研究者名を出しおいたせん。
    ここは「芁確認」のたた眮きたす。


     
     
    坂本梚颚さかもずりふう 就職氷河期䞖代の生き残り。 過去から孊び、珟圚そしお未来ぞず諞孊問の叡智を借り倚角的な芖点でAIず共に思考実隓をしおいたす。 次の䞖代にバトンを぀なげるために地球の未来を思考するクリ゚むタヌずしお新しい物語を綎ろうず思いたす。

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