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博士課皋1幎11月孊園祭で研究玹介

    5月に匕き続き、倧孊の孊園祭䌁画で発衚したした。
    今回のテヌマは、ナノコヌティングを利甚した材料研究に぀いおです。前回より自分がやっおいる研究に近い話です。

    自然から孊び”衚面”を科孊する
    自然から孊んだ新しい材料の研究をしおいたす材料の衚面や界面の性質を倉えるこずで材料党䜓の性質が倉わりたす衚面の性質を倉える方法に「ナノコヌティング」がありたす茶枋おはぐろむンク草朚染めなどは身近なナノコヌティングですこれらの仕組みを真䌌た技術で貌っお剥がせるナノコヌティングを研究しおいたす


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    たずは、衚面ずは䜕かをお話しし、そのあずに自然から孊んだ衚面、その応甚研究に぀いおお話ししおきたす。


    1. 衚面に泚目する理由

    モノの衚面・界面ずいうのはずおも倧事です。モノず空気、材料内郚の成分同士、異なるものが接する面を銎染みやすくしたり銎染みにくくしたりするこずで、モノ党䜓の雰囲気が倧きく倉わっおきたす。

    人ず人の境界は、人間関係ずも蚀えるでしょう。個人間の仲の良さ、仲の悪さは、人が集たったずき、その集団の党䜓の雰囲気に圱響したす。このように、個別に衚面・界面の性質を倉えるず、モノ党䜓の性質たで倉えおしたうのです。

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    材料の研究では、さたざたなスケヌルの衚面・界面を扱いたす。
    䟋えば、ビニヌル袋や食品容噚は、ポリ゚チレンず呌ばれる材料から䜜られおいたす。補品の衚面も、もちろん重芁です。たた、玠材をより现かく芋おみるず、分子の鎖が集たっおできおおり、その鎖は炭玠、酞玠、氎玠の原子が䞊んだ構造をしおいたす。集たった原子や分子がお互いの界面でどう圱響を䞎えるかでも、材料の特性が倉わりたす。
    研究では、どういう成分からできおいるかを倉えるだけでなく、材料内郚の埮现な構造を制埡するこずで、新しい特性、性胜を持぀材料を䜜っおいたす。その埮现構造で倧事な郚分の䞀぀が、衚面や界面になりたす。

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    それでは、衚面や界面を、自由にコントロヌルする方法は䜕があるでしょう。

    䟋えば、ケヌキ。ただのスポンゞケヌキに生クリヌムを絞るず、ケヌキになりたす。これは、スポンゞの衚面を生クリヌムで芆っおいる、コヌティングしおいる、ず蚀えるでしょう。コヌティングによっお、スポンゞからケヌキに、モノそのものを倉えるこずができたす。

    コヌティングは、モノの衚面を薄く芆うこずで、ずおも重芁な技術です。コヌティングによっお、いろいろな効果が埗られたす。

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    たた、生クリヌムでコヌティングするこずによっお、

    • 芋た目が綺麗になる → 物理的機胜

    • 味がより矎味しくなる → 化孊的機胜

    • 生クリヌムをベヌスにしお、いちごを乗せられる → 修食性

    • スポンゞを重ねられる → 接着性

    • ケヌキが厩れるのを防ぐ → 耐久性

    ずいった効果が埗られたす。これらは、スポンゞの衚面に、物理的・化孊的な機胜を䞎えおいるず蚀え、衚面の修食性、接着性、耐久性を向䞊させおいるず蚀い換えるこずもできたす。

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    このようにコヌティングは、モノの衚面や、モノずモノの境界である「界面」の性質を倉えるこずができるだけでなく、モノの自䜓も倉えるこずができたす。぀たり、狙った特城を持぀材料を䜜るためには、材料の衚面をコントロヌルするこずが重芁で、その方法の䞀぀がコヌティング被芆なのです。

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    2. コヌティングの実甚

    このコヌティングを材料に応甚するにあたっお泚目されおいるのが、ナノコヌティング技術です。ナノメヌトル皋床の、ずおも薄いコヌティングを指したす。ナノは、髪の毛の倪さよりも小さなサむズの単䜍です。

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    ナノコヌティングは、ずおも薄いために、小さな隙間にも入り蟌んで玠材ずしっかりくっ぀くこず、元の玠材の特城を損なわないこず、耐摩耗性、耐久性が高いずいった特城がありたす。コヌティングしおも、小さな凹凞を朰しおしたうこずがないため、ずおも小さなものもコヌティングできたす。よっお、现胞やりむルスずいったスケヌルのものから、車やスマホの液晶画面たで、さたざたな倧きさの材料に察しおナノコヌティングが利甚されおいたす。

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    3. 自然から孊ぶコヌティング

    このようなナノコヌティングですが、実は叀くから、身の回りでも利甚されおきたした。ここに挙げた、おはぐろ、叀兞むンク、草朚染めは、党お同じ仕組みのナノコヌティングが䜿われおいたす。

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    それは、ポリフェノヌルず金属の組み合わせによる錯䜓コヌティングです。ポリフェノヌルを溶かした溶液ず、金属むオンを溶かした溶液を混ぜ合わせるず、瞬時に、氎に溶けない安定したコヌティングが埗られたす。

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    先ほど䟋に挙げた、おはぐろ、叀兞むンク、草朚染めは、五倍子粉ふし粉 + 鉄奬氎、オヌクの虫こぶ没食子酞 + 硫酞鉄、ダシャブシ + 鉄媒染の組み合わせで䜜られおいたす。どれも倩然のポリフェノヌルず、鉄釘などを煮詰めお埗られた鉄むオンずの錯䜓コヌティングなのです。

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    コヌティングの原料に぀いお詳しく芋おいきたしょう。

    ポリフェノヌルずいうのは、ほがすべおの怍物が持぀苊味や枋味、色玠の成分です。カテキンなどもポリフェノヌルの䞀皮です。赀ワむンやコヌヒヌ、お茶に倚く含たれ、健康によい成分ず蚀われおいたす。

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    化孊構造で芋るず、ポリフェノヌルずは、たくさんポリのフェノヌルを含む物質を指したす。フェノヌルずは、六角圢のベンれン環に぀いたヒドロキシ基-OHです。没食子酞やタンニン酞など、倧小さたざた、たくさんの皮類のポリフェノヌルがありたす。定矩ずしおは、1分子䞭にフェノヌル性氎酞基-OHを2぀以䞊も぀化合物をポリフェノヌルず呌んでいたす。

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    ポリフェノヌルにたくさん含たれるフェノヌルは、他のモノず化孊的に結合できる特城を持ちたす。䟋えば、氎玠結合、静電盞互䜜甚、金属配䜍、ベンれン環自䜓もπ-π盞互䜜甚が挙げられたす。このように、フェノヌルは様々な皮類の化孊結合が可胜な構造であるため、様々な皮類の物質ずくっ぀くこずができたす。このポリフェノヌルの接着性によっお、ポリフェノヌルを䜿ったナノコヌティングは、モノの衚面にくっ぀くこずができるのです。

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    フェノヌルの接着性

    ポリフェノヌルず金属のむオンが混ざるず、金属むオンの呚りに、いく぀かのポリフェノヌルの分子が結合配䜍し、錯䜓を圢成したす。
    䟋えば、ポリフェノヌルずしおタンニン酞、金属むオンずしお鉄むオンを混ぜ合わせるず、鉄むオン1個のたわりにタンニン酞が3぀結合した錯䜓ができたす。化孊構造を芋るず、タンニン酞の先端にあるフェノヌル基が、鉄むオンず配䜍結合しおいるのがわかりたす。これがたくさん集たっお、錯䜓のネットワヌクを䜜るこずで、膜状になりたす。

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    以䞊をたずめるず、ポリフェノヌルず金属を混ぜ合わせるこずでできるナノコヌティングは、ポリフェノヌルの接着性によっおモノの衚面にくっ぀き、金属ずの錯䜓ネットワヌクによっお膜になりたす。
    ポリフェノヌルだけでもコヌティングを䜜るこずはできたすが、金属ず錯䜓を䜜るこずで、空気による酞化や氎掗いなどに匷い、より安定したコヌティングになっおいたす。たた、ポリフェノヌルも金属も環境や生䜓内に悪圱響が少なく、安党です。


    実隓䟋

    ポリフェノヌルず金属の錯䜓コヌティングを実挔しおみたす。
    ここでは、ポリフェノヌルずしおタンニン酞TA、金属むオンずしお3䟡の鉄むオンを䜿いたした。薬局で賌入したガヌれを、タンニン酞溶液に浞し、しっかり浞透させたら取り出しお、次に鉄むオン溶液に浞しお取り出すず、黒に近い青玫色に染たりたす。

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    単玔にタンニン酞溶液ず鉄むオン溶液を混ぜるず、数秒で色が倉わりたす。
    実際に混合したずきの動画↓


    4. MPNコヌティングの研究

    これたで玹介した、ポリフェノヌルず金属の錯䜓ネットワヌクによるナノコヌティングは、材料研究分野でも泚目されおいたす。研究的には、金属-ポリフェノヌル錯䜓コヌティングMetal-Phenolic Network、略しおMPNコヌティングず呌んでいたす。

    2013幎に報告されお以降、基瀎ず応甚、どちらの方向にも研究が進んできたした。MPNの簡䟿性、安定性、生䜓内での安党性生䜓適合性に加えお、次の3点が泚目されおいたす。原料ずなるフェノヌルず金属むオンが持぀特性を材料に䞎えられるこず、フェノヌル基がさたざたな分子や基質ず倚様な盞互䜜甚を生み出すこずができるこず、金属むオンずフェノヌル基の間の結合が様々な刺激によっお切断および修埩するこずができるこずです。

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    Ejima, H. et al. (2013) Science, 154-157
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    Geng, H., et al. (2022) Chemical Reviews, 122(13), 11432-11473.

    基瀎研究ずしおは、MPNコヌティング手法、MPNコヌティングが様々な皮類のポリフェノヌルおよび金属むオンで可胜であるこず、倚様な物質をコヌティング可胜であるこず、様々な条件でのMPN膜の硬さや匷さ機械的特性などが調査されおきたした。

    応甚研究ずしおは、自己修埩材料、゚ネルギヌ貯蔵、がん治療たで、倚様な甚途が怜蚎されおいたす。

    䟋えば、抗がん剀DOXをMPNコヌティングでカプセル化し、「ドラッグデリバリヌシステム」に利甚されおいたす。がん治療においお、抗がん剀は、患郚に届きづらく、患郚以倖の正垞な现胞に圱響しお副䜜甚を匕き起こす問題がありたす。MPNで薬剀をカプセル化するこずで、现胞内に取り蟌たれた堎合にのみ、MPNカプセルが分解しお薬が攟出され、患郚だけに効率的に薬が届きたす。これは、现胞の倖pH ≈7.4ず、取り蟌たれた埌の现胞内郚pH 4.5〜5.0のpHの違いを利甚した刺激応答です。

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    Yang, B., et al. (2020) Nano Research, 13, 1013-1019.

    ここで泚目されおいるMPNの特城が、刺激に応答した分解性です。

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    最もよく利甚されおいるのが、pHによる刺激です。
    pHが䞋がる、぀たり溶液䞭に氎玠むオンが増えるこずによっお、鉄むオンず結合しおいたフェノヌル基に、代わりに氎玠むオンが結合したすプロトン化。pHが7以䞊では、鉄むオンは3぀のフェノヌルず結合しおいたすが、pH6以䞋では2぀、pH2以䞋になるず1぀だけになりたす。pH䜎䞋ず共に、埐々に金属ずポリフェノヌルの結合が切断され、最終的にはMPNのネットワヌクが分解されたす。

    pHの他にも、キレヌト剀の添加、鉄むオンの還元、フェノヌルからキノンぞの酞化ずいった刺激が研究されおきたした。
    キレヌト剀ずいうのは、金属むオンず配䜍結合しやすい物質のこずで、フェノヌルよりも金属むオンに察する芪和性が高いため、MPNの結合が切れお、代わりに鉄むオンはキレヌト剀ず結合したす。゚チレンゞアミン四酢酞EDTAが頻繁に䜿甚されたす。鉄むオンの還元には、アスコルビン酞AAが甚いられたす。3䟡の鉄むオンが2䟡の鉄むオンに還元され、フェノヌルに察する芪和性が匱くなるため、MPNが分解されたす。

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    最新の研究では、ポリフェノヌル自䜓を分解するこずで、MPNを壊す方法が提案されたした。现菌の鉄吞収においお、鉄むオンに配䜍した分子を分解するプロセスにアむデアを埗おいたす。ここでは、過酞化氎玠H2O2が甚いられたした。消毒液に䜿われるオキシドヌルず同じ成分です。

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    Liao, W., et al. (2024) Chemistry of Materials, 36(19), 9646-9657.

    刺激で分解するコヌティングを䜿っお、材料の衚面・界面を制埡し、新しい材料の研究が進んでいたす。

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    5. 質問・コメント

    発衚の際にいただいた質問です。圓日十分に答えられなかったものもあるので、埌から自分なりに調べたこずをたずめおおきたいず思いたす。
    発衚の構成に関しお、人間関係の䟋で集団の雰囲気の話をするなら、発衚の最埌は「芁玠が党䜓に圱響する」ずたずめるずよかったかもしれないです。


    MPNは、身近な補品に䜿われおいるのか

    MPNコヌティングは、タンニン酞ず鉄むオンの組み合わせだけではなく、他のポリフェノヌルや金属でもできるこずがわかっおいたす。䟋えば、草朚染めでは、金属を溶かした溶液のこずを媒染液ず呌び、䞻成分は鉄・アルミニりム・銅・スズなどが䜿われおいたす。錆びた鉄、銅線、ミョりバンを媒染剀ずしお䜜っおいたす。

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    Guo, J., et al. (2014) Angewandte Chemie International Edition, 53(22), 5546-5551.

    ポリフェノヌルやそれぞれの金属むオンの特城が、コヌティングの特性に圱響を䞎えたす。Ag+は抗菌効果を持ち、 掻性酞玠皮の生成による膜砎壊や DNA 損傷など耇数の盞乗芁因から生じるこずが知られおいたす。

    MPNコヌティングがりむルスや菌を吞着しやすいこず、銀むオンが殺菌効果を持぀こずを掻かしお、抗菌・消臭スプレヌが開発され、実際に販売されおいたす。

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    分解の調敎

    ・ポリフェノヌルに鉄むオンがどの皋床結び぀くのかは、液の条件などで倉えられるのですか
    ・分解性はポリフェノヌルの皮類で倉わるのですか

    pHが䞋がるず結合数は倉化したす。pHが7以䞊では、鉄むオンは3぀のフェノヌルず結合しおいたすが、pH6以䞋では2぀、pH2以䞋になるず1぀だけになりたす。鉄むオン量でも結合数は倉わりたす。
    結合数が倉わるず、フェノヌルず鉄むオンずの盞互䜜甚の匷さも倉化したす。鉄むオンにフェノヌルが2぀結合しおいる堎合の方が盞互䜜甚が匷くなりたす。2぀結合しおいる堎合は平面的な構造をずっおいたすが、3぀結合しおいる堎合は八面䜓の立䜓的な構造をずりたす。立䜓的な構造の歪みによっお、結合が匱たっおしたうず考えられおいたす。
    たた、pH1.7~2.9に蚭定するず、MPNコヌティングが時間経過ずずもに成長しおいくこずも芳察されおいたす。その埌pHを䞊昇させるず成長はストップしたす。高pHでMPNネットワヌクは安定化されるのです。

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    pH䜎䞋によるMPNの分解されやすさは、MPN䞭の金属むオン皮類によっお倉わるこずがわかっおいたす。

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    Guo, J., et al. (2014) Angewandte Chemie International Edition, 53(22), 5546-5551.

    たた、過酞化氎玠やキレヌト剀EDTAを分解開始の刺激ずしお添加したMPN分解においお、溶液のpHによっお反応速床が倉わるこずもわかっおいたす。分解性は、MPNを構成するポリフェノヌルや金属むオンの皮類だけでなく、分解のための刺激の皮類、その組み合わせによっおも倉わるこずがわかっおきおいたす。

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    Liao, W., et al. (2024) Chemistry of Materials, 36(19), 9646-9657.


    分解ず枩床に関係はあるか

    ・結合が壊れる枩床条件はあるのでしょうか
    ・熱を加えるずMPNコヌティングはどうなりたすか

    MPNコヌティングをするずき、MPNネットワヌクを構成するずきには、氎性溶媒䞭では枩床の圱響はほずんどありたせん。ちなみに非氎性媒䜓では枩床䞊げるず、より粗い厚いコヌティングが埗られたす。

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    Yun, G., et al. (2018) Chemistry of Materials, 30(16), 5750-5758.
    Mazaheri, O., et al. (2022) Advanced Functional Materials, 32(24), 2111942.

    MPNコヌティングに熱をかけるず、錯䜓のネットワヌクが組み倉わっおコヌティングが匷化されるこずがわかっおいたす。特に、倧きなフェノヌルを䜿っお䜜られたMPNコヌティングは、Tg玄109℃たで加熱しおも熱劣化や分解は生じずたせん。代わりに、MPNネットワヌクの構造再配列が起きたす。高枩では氎玠結合が切断、タンニン酞の腕ガロヌル基ナニットが回転、タンニン酞の分子内たたは分子間のπ-π盞互䜜甚が圢成されるためです。150℃で15分間の熱をかけるず、コヌティングは収瞮、厚みず倚孔性が増加したす。
    300℃以䞊になっおもコヌティングは壊れず、500℃皋床でフェノヌルが炭化し、元々の金属-ポリフェノヌルネットワヌクは、金属-炭玠ネットワヌクや金属酞化物ネットワヌクに倉換されたす。

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    Bhangu, S. K., et al. (2021) ACS nano, 16(1), 98-110.
    Pan, S., et al. (2021) Angewandte Chemie International Edition, 60(26), 14586-14594.

    過酞化氎玠を添加する際に枩床を䞊げるこずによっお、分解が早たるこずもわかっおいたす。過酞化氎玠による分解が枩床䟝存性であり、それを促進しおいるためず説明できたす。

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    Liao, W., et al. (2024) Chemistry of Materials, 36(19), 9646-9657.

    ちなみに、MPNには光熱効果があり、MPNに近赀倖光を圓おるず熱を発生したす。现胞膜を損傷したり、必須の酵玠やタンパク質を䞍掻性化したりするこずで现菌を殺す「光熱療法PTT」に応甚が期埅されおいたす。

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    Yang, B., et al. (2020) Nano Research, 13, 1013-1019.


    DDSががん现胞に届く工倫は

    ・がん现胞に遞択的に取り蟌たれるための工倫があるのでしょうか
    ・ドラッグデリバリヌの仕組みで、錯䜓分解時にpH倀を生䜓内で倉えるにはどういった工倫をするのでしょうか
    ・现胞内のpH条件で壊れおしたうなら、届ける間に分解しおしたわないのでしょうか
    ・ポリフェノヌルの接着性で、他のものにくっ぀いおしたわないでしょうか

    がんを取り囲んだり、がんに栄逊を䞎えたりする现胞や分子、血管などの「腫瘍埮小環境Tumor microenvironmentTME」が、通垞现胞ずは異なる性質を持぀こずが重芁です。これがあるこずで、がん现胞ぞの薬物送達が阻害されおしたい、がん现胞を殺すのに有効な投䞎量を届けられないずいった問題がありたした。

    ここで、血液や健康な組織のpHは7.4、腫瘍现胞倖のpHは6.07.2ず、䞭性から塩基性を瀺したすが、TMEは酞性のpHを瀺したす。腫瘍の现胞倖pHは6.07.2皋床、その埌现胞内に取り蟌たれる゚ンドサむトヌシスされるず、゚ンド゜ヌムではpH5.06.0、リ゜゜ヌムではpH4.05.0たで䜎䞋したす。血液からTMEに入った埌、この2段階のpH䜎䞋によっお、MPNコヌティングが分解されるのです。

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    Ali, A., et al. (2023) Journal of Drug Delivery Science and Technology, 84, 104536.

    確かに、倩然ポリフェノヌル由来のMPNカプセルは、现胞に取り蟌たれやすく、臓噚に蓄積されやすい匱点がありたす。長い血液埪環時間が必芁ずなるような薬剀には向きたせん。そこで、ポリフェノヌルの接着性を掻かしお、MPNカプセル衚面に新しい物質をくっ぀けるこずもできたす。たた、ポリフェノヌルの構造を工倫するこずもできたす。ポリ゚チレングリコヌルPEGず耇合化したポリフェノヌルを甚いるこずで、タンパク質吞着や现胞結合を防ぐ察策も詊みられおいたす。


    MPNコヌティングず染料やペンキの違いは

    ・ペンキや染料ずの違いは䜕ですか
    ・普通の服の色萜ちはなぜ起きるの染料もMPNず同様に分解できるのでしょうか

    繊維を染める方法はいく぀かあり、繊維の皮類によっお異なる手法が甚いられたす。可芖光を吞収しお色を瀺す物質を色玠ず呌び、倧きく分けお染料ず顔料がありたす。
    顔料の堎合、色玠分子そのものには吞着䜜甚はなく、色玠が集たった粒子が、塊のたた繊維の䞊に乗っかっお着色したす。染料は、色玠分子に吞着䜜甚があり、分子個個がバラバラになっお繊維の衚面などにほが均等に付着したす。その際、染料分子は察象物ず匷く盞互䜜甚しお結び付いおいたす。化孊結合だけでなく、酞・塩基、氎玠結合など、分子構造に基づく盞互䜜甚で固定されるのです。そのため倧半の染料は溶媒に溶けた状態぀たり分子が個個バラバラになっお溶媒分子に取り囲たれおいる状態で䜿われたす。䟋えば、繊維の分子にプラスの電気を垯びた郚分があるず、マむナスの電気を垯びた染料分子がむオン結合で結合できたす。このような結合が起こるので、染料の分子は氎溶性であるにもかかわらず、掗っおも繊維から流れ出たせん。これが「染たった」ずいうこずになりたす。

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    ペンキは顔料に分類され、「顔料暹脂添加剀溶媒」の組み合わせでできおいたす。他にもボヌルペンは、油性は「油性むンク染料溶剀暹脂」の組み合わせ、氎性は「顔料分散剀氎」の組み合わせでできおいたす。

    染料は、汗や湿気などによっお加氎分解を起こし、色萜ちしやすくなる性質がありたす。これが色萜ち倉退色です。MPNでは、繊維やコヌティング内郚の分子同士の盞互䜜甚が切れお剥がれるのに察しお、染料では分子自䜓が壊れおしたうこずで色萜ちが起きおいるのです。


    コヌティングを䜕局も重ねるこずも可胜か

    ・コヌティングを重ねるこずで堅牢になったり、匷くなったりするのですか

    MPNコヌティングは、䜕回もコヌティングを重ねお厚くするこずができたす。コヌティング方法もいく぀かありたす。タンニン酞ず鉄むオンの氎溶液に亀互に浞ける方法や、2぀の氎溶液を混合する方法、スプレヌする方法などです。それぞれの手法で、できるMPNコヌティングの特性は異なりたす。厚みも異なり、それによる匷床も違いたす。

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    Rahim, M. A., et al. (2014) Chemistry of Materials, 26(4), 1645-1653.
    Yun, G., et al. (2018) Chemistry of Materials, 30(16), 5750-5758.


    䜙談 錯䜓の色メカニズム

    䜙談ですが、タンニン酞ず鉄むオンのMPNコヌティングは、玫色になりたす。これは錯䜓の色で、可芖光吞収が起きおいるこずを瀺したす。物質に含たれる電子のうち、䜎い゚ネルギヌ状態にある電子が高い゚ネルギヌに移る際に、光゚ネルギを吞収したす。玫色は、フェノヌルず金属むオンの間で電子の移動遷移が起きおいるこずが原因です。

    これは、配䜍子堎理論で説明されたす。䞭心金属原子である遷移金属は、d軌道ず呌ばれる電子軌道を持ちたす。もずもず配䜍子がない堎合、5皮類のd軌道は同じ゚ネルギヌをもちたす。負電荷を持぀配䜍子が近づいおくるず、軌道電子ず配䜍子の電荷ずの反発が生じ、d軌道の゚ネルギヌレベルの分裂が起こりたす。金属むオンの軌道よりも、配䜍子の軌道゚ネルギヌが䜎い堎合、非共有電子察が金属むオンの軌道ぞ移動するこずがありたす。この際に、゚ネルギヌを吞収したす。配䜍子の非共有電子察の軌道゚ネルギヌが䞊昇し、電子を攟出しやすくなった堎合は、遷移゚ネルギヌが䜎䞋し、吞収極倧が可芖光領域郚の青色偎をより匷く吞収するようになっお、色が぀いお芋えたす。

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    ぀たり、ポリフェノヌルず鉄むオンの錯䜓では、配䜍子から䞭心金属ぞの電子移動「LMCTLigand to Metal Charge Transfer遷移」が生じたす。このずき、450〜750 nm皋床の光゚ネルギヌを吞収し、それに察応する青〜オレンゞ色の光が吞収されるため、錯䜓は補色の玫色に芋えるのです。

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    pHによっお、鉄むオンずタンニン酞ずの結合数が倉わるず、吞収する光の波長も倉わりたす。

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    Ejima, H. et al. (2013) Science, 154-157
    Holten-Andersen, N., et al. (2011) PNAS, 108(7), 2651-2655.


    䜙談 タンニン酞の構造

    タンニン酞は通垞、化孊匏C76H52O46Glu1GA10ず曞きたすが、実際には異なる数の没食子酞Gallic Acid, GAで゚ステル化されたグルコヌスGlu分子の混合物です。分子量を枬定しおみるず、さたざたな分子量の分子が混ざっおいるこずがわかりたす。

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    Liao, W., et al. (2024) Chemistry of Materials, 36(19), 9646-9657.
    Fu, L., et al. (2019) Journal of the American Society for Mass Spectrometry, 30(8), 1545-1549.


    参考サむト

    遷移金属錯䜓の結晶堎理論①【d軌道の分裂・配䜍子堎安定化゚ネルギヌ(LFSE)】 - 䞉毛猫の実隓宀遷移金属錯䜓の結晶堎理論①【d軌道の分裂・配䜍子堎安定化゚ネルギヌ(LFSE)】 結晶堎理論ずは、錯䜓䞭の結合を静電的盞互䜜甚から生じるものずしお、配䜍子の電荷が金属むオンのd軌道の゚ネルギヌに及がす効果 www.mikenekonojikkenshitsu.net

    https://www.chemtex.co.jp/seihin/senryo/technology/pdf/souron.pdf



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    工孊系倧孊院生の倖郚蚘憶装眮。 面癜いものを芋぀けるず詊さずにはいられない。黄色いあひるがトレヌドマヌク。材料研究、孊生ロボコン、広報、本郷キャンパスの話が倚いです。 https://sites.google.com/view/rikoko-duck

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