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読書さんぽ|傘の向こうに見えた景色

雨の日は、少しだけ外へ出るのが億劫になる。

濡れないように荷物をまとめて、娘に長靴を履かせて、自分の傘も忘れないようにする。

雨脚が強ければ、歩く速さにも気を配る。
水たまりを見つけた娘が、突然立ち止まることもある。

晴れた日なら、もう少し早く着くのに。

そんなことを考えながら、娘と並んで傘をさす。

けれど、傘の上に雨粒が落ちてくる音を聞くと、私たちはいつの間にか、あの言葉を口ずさんでいる。

「あめがふったら ぴっちゃんちゃん
あめがふったら ぽんぽろろん」

佐野洋子さんの絵本『おじさんのかさ』に出てくる、大好きな場面だ。

雨の日にだけ聞こえる音

傘を大切にするあまり、雨が降ってもなかなか傘を開こうとしないおじさん。

けれど、あることをきっかけに傘をさしてみると、雨の日にしか聞こえない、楽しい音に出会う。

「ぴっちゃんちゃん」
「ぽんぽろろん」

同じ雨音なのに、この言葉を知ってから、傘に落ちる雨の音が少し違って聞こえるようになった。

ぱらぱら。

ぽつぽつ。

ときには、ばらばらばら、と勢いよく。

傘は、雨から身体を守るためのものだと思っていた。

けれど絵本を読んでからは、雨音を聞くための小さな屋根のようにも思える。

娘と二人で傘を並べれば、それぞれの頭の上に、それぞれの音が降ってくる。

同じ道を歩いていても、聞こえている音は少し違うのかもしれない。

傘の向こうにあるもの

大人になると、雨は予定を乱すものになりやすい。

洗濯物が乾かない。
靴や服が濡れる。
子どもの送り迎えにも時間がかかる。

けれど、娘にとっての雨は、必ずしも困ったものではないらしい。

水たまりを見つけて立ち止まり、葉っぱから落ちる雫を眺める。

お気に入りの長靴を履き、傘を持って歩く。

晴れた日には現れないものが、雨の日の道にはたくさんある。

私が早く通り過ぎようとしていた景色を、娘は何度も立ち止まって見つけてくれる。

今日もまた、傘の下で小さく歌う。

「あめがふったら ぴっちゃんちゃん
あめがふったら ぽんぽろろん」

その言葉を口にするだけで、雨の日の道が、絵本の続きを歩く時間になる。


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ここからは、雨の日に娘と歩きながら気づいた、私自身の変化について書いてみます。

 
 
本が好きなのに、今は読めないあなたへ。 本とことばで、忙しい毎日に小さな余白を届けます。 図書館司書/4歳娘の母/ブックシェアコーディネーター。 メンバーシップ「凛のことのはライブラリー」運営中。

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