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Photo bynodakaori

読書量ではなく、読書距離だと思っているのに。

    私がつい比べてしまうもの。

    それは、読書量かもしれない。

    月初めになると、Xには「先月読んだ本」がたくさん流れてくる。

    読書垢をたくさんフォローしているから、色とりどりの表紙がタイムラインを埋め尽くす。

    「今月は20冊。」
    「30冊読めました。」
    「積読もだいぶ減りました。」

    その投稿を見るたびに、「すごいなぁ」と思う。

    そして、そのあとに、少しだけ比べてしまう。

    私は、こんなに読めていないな。

    仕事もある。

    娘との時間もある。

    書きたい文章もある。

    言い訳はいくらでもできる。

    でも、比べる気持ちは、理屈では止まらない。

    もっと読みたい。

    もっと読める人になりたい。

    そんな気持ちが、心のどこかにある。

    不思議なのは、私はずっと「読書量ではなく、読書距離だ」と思ってきたこと。

    一冊を読む速さではない。

    どれだけ自分の中に残ったか。

    どれだけ人生を動かしたか。

    そのほうが、ずっと大切だと信じている。

    それなのに、Xを開くと、いつの間にか冊数を数えている。

    人は、自分が信じていることよりも、見える数字に心が揺れる生きものなのかもしれない。

    でも最近、少しだけ思う。

    比べてしまうのは、本が好きだからだ。

    本が好きだから、もっと読みたい。

    好きだからこそ、少し悔しくなる。

    だから、この気持ちを無理に消さなくてもいいのかもしれない。

    ただ、そのあとで思い出したい。

    私は、誰かの一か月と比べるために本を読んでいるわけではない。

    昨日の私より、ほんの少し遠くまで歩くために、本を読んでいる。

    読書量ではなく、読書距離。

    その言葉を、一番忘れやすいのは、案外、私自身なのかもしれない。


    喜木 拝


    #66週ライラン

    「私がつい比べてしまうもの」

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    ヤスさんの「66週ライラン」お題で綴りました。
     
     
    本が好きなのに、今は読めないあなたへ。 本とことばで、忙しい毎日に小さな余白を届けます。 図書館司書/4歳娘の母/ブックシェアコーディネーター。 メンバーシップ「凛のことのはライブラリー」運営中。

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