
冬のベンチで、短い一篇【読書さんぽ】
冬のベンチは、
座るための場所というより、
立ち止まるための場所だと思う。
図書館の帰り道、白い息をこぼしながら、娘と公園の端のベンチに腰かけた。
木の板はひんやりしていて、手袋越しでも冷たさが伝わってくる。
それでも、夕方の光が斜めに差していて、なぜか「もう少しだけここにいたい」と思えた。
冬は、長い本より、短い一篇が似合う。
まとまった時間はなくても、
心がほどけるだけの文章なら、ちゃんと読めるから。
洗濯物を取り込むまでの10分。
お湯が沸くまでの3分。
寝かしつけのあと、まぶたが重くなるまでの7分。
そういう「暮らしのすきま」に、短い文章はするっと入ってくる。
大きく人生を変えるわけじゃない。
でも、呼吸をひとつ深くしてくれる。
今日のわたしは、
“読む”ことを、がんばるための予定にしないで、
“座ってみる”くらいの気持ちで受け取ってみたかった。
冬のベンチで読む短い一篇は、
ページというより、体温に近い。
読んだあとに残るのは、感想より先に、
「あ、ちょっとだけ、だいじょうぶかも」という小さな実感だ。
ここから先は、
メンバーシップ「凛のことのはライブラリー」限定です。
今夜のための“短い一篇”と、読書さんぽの余韻メモを置いていきます。