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勇者じゃない。聖女でもない。異世界が呼んだのは、介護福祉士だった。#この作品に帯をつけるなら【創作大賞感想】

    帯なので、いいことしか書きません。

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    創作大賞2026に応募されている作品に、私が読者として「帯」をつけるなら。
    そんな気持ちで、感想を書かせていただく企画をしています。

    そしてなんと、きょうたのさんとコラボさせていただけることに!!

    私が考えた帯のことばを、きょうたのさんに描いていただきました。

    きょうたのさんのnoteはこちらです👇

    作品を読んで、ことばを考える。
    そのことばを、誰かが文字として描いてくれる。

    それだけで、ただの感想だったものが、ほんとうに一枚の「帯」になったような気がしました。

    今回読ませていただいたのは、藤みけさんの小説。

    『異世界に行っても介護かよ!?〜介護福祉士ルコの不思議な奮闘記〜』

    タイトルを見た瞬間、まず思いました。

    そう来たか、と。

    異世界に行く。
    召喚される。
    護り人になる。

    ここまでは、ファンタジーとしてわくわくする言葉が並びます。

    けれど、そのあとに続くのが、まさかの「介護」。

    異世界に行っても介護かよ!?

    このタイトルだけで、もう作品の入口として強いです。

    異世界召喚ものといえば、勇者、聖女、魔法使い、救世主。
    剣を持ったり、魔法を放ったり、特別な力に目覚めたり。

    そんなイメージがあります。

    けれど、この物語で異世界に呼ばれるのは、介護福祉士のルコ。

    しかも、彼女が向き合うことになるのは、魔王討伐ではなく、認知症介護。

    この組み合わせが、本当におもしろいと思いました。

    異世界と介護。

    一見、遠く離れているように見えるふたつの世界が、この作品の中では自然につながっていきます。

    なぜなら、場所が変わっても、人が人を支えることの本質は変わらないからです。

    魔法があっても。
    王子がいても。
    占い師がいても。
    異世界の不思議な事情があっても。

    目の前にいる人の不安を受け止めること。
    言葉にならない感情をくみ取ること。
    その人の尊厳を守ること。
    暮らしを支えること。

    それは、どこの世界でも必要な力なのだと思います。

    この作品の魅力は、介護をただ「大変な仕事」として描くだけではないところです。

    もちろん、介護の現場には大変さがあります。
    人手不足もある。
    心身の疲れもある。
    きれいごとでは済まないこともある。

    でも、この作品はそこに、笑いとファンタジーの風を通してくれます。

    重くなりすぎず、でも軽く扱いすぎず。
    現実の介護の手触りを残しながら、異世界という舞台でエンタメとして読ませてくれる。

    そのバランスが、とても魅力的でした。

    ルコという主人公も、とてもいいです。

    完璧なヒーローではない。
    聖なる使命に燃えているわけでもない。
    仕事に疲れているし、ツッコミも入れるし、戸惑いもする。

    でも、彼女には現場で身につけてきた力があります。

    観察する力。
    相手の様子を読む力。
    言葉の裏にあるものを考える力。
    その人らしさを守ろうとする力。

    それは、剣や魔法のように派手ではないかもしれません。

    けれど、誰かの生活を支えるためには、ものすごく大切な力です。

    異世界が本当に必要としていたのは、世界を一撃で変える力ではなく、目の前の人に向き合い続ける力だったのかもしれない。

    そう思うと、この物語の「介護福祉士が召喚される」という設定が、ただのギャグではなく、とても意味のあるものに感じられました。

    「護り人」という言葉も印象的です。

    誰かを護る人。

    その「護」は、戦って守ることだけではない。
    暮らしを守ること。
    心を守ること。
    その人がその人らしくいられる時間を守ること。

    介護の「護」でもある。

    この響きが、とても素敵だと思いました。

    帯コピーを考えるとき、今回はとにかく未読の方に「え、どういうこと?」と思ってもらえる入口にしたいと考えました。

    異世界召喚ものが好きな人にも届いてほしい。
    お仕事小説が好きな人にも届いてほしい。
    介護の現場を知っている人にも、知らない人にも、ページを開いてみたくなってほしい。

    そのためには、この作品ならではのギャップを、まっすぐ出すのが一番だと思いました。

    ということで、私がこの作品に帯をつけるなら。

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    この帯をつけたいです。

    異世界が求めたのは、剣でも魔法でもなく、介護福祉士の現場力。

    その意外さに笑いながら、読み進めるうちに、介護という仕事の専門性や、人を支えることの尊さにも触れていく。

    そんな作品でした。

    「異世界に行っても介護かよ!?」というタイトルの勢いに笑い、
    ルコの奮闘に引き込まれ、
    最後には、介護という仕事を見る目が少し変わるかもしれない。

    楽しくて、あたたかくて、そして介護福祉士という仕事への敬意がにじむ物語でした。

    藤みけさん、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございます。

    帯のことばを素敵に描いてくださった、きょうたのさんにも感謝を。

    喜木 拝


    紹介作品

    藤みけさん
    『異世界に行っても介護かよ!?〜介護福祉士ルコの不思議な奮闘記〜』


    帯の文字

    きょうたのさん



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    本が好きなのに、今は読めないあなたへ。 本とことばで、忙しい毎日に小さな余白を届けます。 図書館司書/4歳娘の母/ブックシェアコーディネーター。 メンバーシップ「凛のことのはライブラリー」運営中。

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