
並木道、木漏れ日、そして詩集―そよ風に吹かれて、ことばを拾いながら―
5月、駅から通りへ向かう並木道。
新緑が、空を縫うように枝を伸ばしている。
光がちらちらと揺れて、アスファルトに編み目模様をつくった。
わたしは、鞄から一冊の詩集を取り出す。
谷川俊太郎さんの『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』だった。
友人との待ち合わせまで、まだ時間がある。
ゆっくり歩きながら、ページをめくった。
ベビーカーを押す母親、半袖姿で駆けていく少年たち。
カフェのテラス席には、ひとり読書をする学生もいる。
―きっと、誰もが、心のなかでなにかを読んでいる。
そんな気がした。
通り沿いのベンチに腰かけ、ふと開いたページで、
「芝生」という短い詩に出会った。