
“おかえり”を言える仕事を探して。― 図書館司書、母、そしてライターとしての30代 ―
30代最後の年に、立ち止まって考える
来月、39歳になる。
気づけば、30代もあとわずか。
図書館のカウンターで「こんにちは」と笑顔を向けながらも、
心の奥ではいつも、「このままでいいのだろうか」と問い続けてきた。
20代は、ただがむしゃらに働く時期だった。
30代は、家庭と仕事の間で“選ぶ”時期だった。
そして今、私は「安定」か「挑戦」かという二択ではなく、
“両立”という第三の道を探している。
図書館の司書として、専門性を深める
図書館で司書として働いて十数年。
利用者の方が「この本、面白かったです」と言ってくださる瞬間が、今も何より嬉しい。
けれど同時に、図書館が果たす役割は年々広がりを見せている。
AIの登場、子育て支援、居場所づくり――
「貸す」だけではない“つながる図書館”のあり方を模索する日々だ。
そんな中で、私は認定司書という資格に挑戦している。
学び直しの時間は決して楽ではないけれど、
自分の専門性をもう一段深めることで、
「未来の図書館」に貢献できる司書になりたいと思っている。
変化の時代だからこそ、
“知識を更新し続ける司書”でありたい。
それが、30代後半の私の答えだった。
娘の誕生が教えてくれた「時間」の価値
転機は、娘の誕生だった。
生まれたばかりの小さな手を握ったとき、
私の中で、仕事への価値観が静かに変わっていった。
「キャリアを積むこと」と「家族と過ごすこと」。
どちらも大切なのに、両方を完全に手に入れることは難しい。
夫はほぼカレンダー通りの休みなので、
シフト制の私とは、休日が合わない日々が続いた。
娘の寝顔を見ながら、
「“おかえり”を言える生活をしたい」
そう強く思ったのを、今でも覚えている。
新しい挑戦:ライターというもうひとつの居場所
そんなとき出会ったのが、“書く仕事”だった。
もともと本が好きで、言葉に救われてきた私にとって、
文章を書くことは自然な延長線上にあった。
最初は、小さなWEB記事から。
育児の合間にパソコンを開き、
娘が昼寝している間に、静かにキーを叩いた。
最初の報酬はほんの少しだったけれど、
“自分の言葉で誰かに届く”という喜びがあった。
図書館で培った調査力、
司書としての情報整理の力、
そして母としての等身大の視点。
そのすべてが、ライターという新しい仕事に生かせることを知ったとき、
胸の奥がじんわりと温かくなった。
40代に向けて:“正解”は、自分でつくる
30代は、迷いながらも歩き続ける時間だった。
安定か、挑戦か。
そのどちらかを選ぶのではなく、
「自分にとっての正解をつくる」ことが、
この10年で学んだいちばんのことだと思う。
40代は、“調和”の年代にしたい。
家族と、自分と、仕事とのバランスをとりながら、
娘に胸を張って言えるように。
「ママはね、“おかえり”を言える仕事を選んだんだよ。」
図書館で働く日も、
在宅で文章を書く日も、
どちらも、私にとっての“働く幸せ”のかたち。
30代最後のいま、ようやく気づいた。
キャリアとは、
「肩書き」ではなく、「生き方」そのものなのだと。