
「もう1回」が止まらない夜の読み聞かせ
「もう1回!」
布団にもぐったはずの夜に、もう一度ページが開く。
眠たいのに、ちょっとだけうれしい——そんな夜が、わが家にはあります。
3歳の娘との読み聞かせタイム。
電気を落として、ぬいぐるみを枕元に並べて、さて寝よう……と思った瞬間に始まる「もう1回コール」。
正直、母のHPはほぼゼロです。
夕飯の片づけ、明日の準備、仕事のこと。
頭の中には“やること”がまだ残っている。
それでも、絵本を開くと、娘の目がふっとやわらかくなるのがわかるんです。
「もう1回」は、わがままじゃなくて“安心”なのかもしれない
同じ本を何度も読みたがるのは、子どもにとって「先がわかる安心」があるから。
次にどんな言葉がくるか、どこで笑えるか、どこで少しドキドキするか。
わかっている道を、もう一度いっしょに歩くみたいな時間です。
大人は「新しい本を読もう」と思いがちだけれど、
子どもは「大好きな本を、もう一回」がうれしい。
この“くり返し”の中で、言葉が育って、気持ちが育っていくんだなと感じます。
わが家の「もう1回」との付き合い方
毎晩、無限に読むのはやっぱりむずかしい。
だから最近は、こんなふうにしています。
最初に回数を伝える
「今日は3回読んだらおしまいね」と先に約束する。電気を消して、絵本ライトで読む
部屋の電気は消して、ほのかな灯りで眠気をさそいます。終わりの合図を同じにする
「絵本さん、おやすみなさい」と言って本を閉じる。
これで毎回うまくいくわけじゃないけれど、
“親子で終わり方を共有する”だけで、ぐっと楽になります。
司書として、母として思うこと
図書館の仕事をしていると、
「どの絵本がいいですか?」という質問をよくいただきます。
もちろん本選びは大事。
でも、それと同じくらい大事なのは、読む人の体温だと思っています。
上手に読めなくてもいい。
途中で噛んでもいい。
子どもは、物語そのものと同じくらい、
「いっしょに読んでくれた時間」を覚えている気がするから。
「もう1回」に付き合える日も、付き合えない日もある。
それでいい。
読めた日は花丸、読めなかった日は深呼吸。
そのくらいのやわらかさで、今夜もページをめくっていけたらと思います。
眠る前の数分は、
子どもにとっても、親にとっても、
今日をやさしく閉じるための小さな儀式なのかもしれません。
今夜のあなたの「もう1回」も、
どうかあたたかい時間になりますように。
喜木 拝
