
その壁打ち、どこで浅くなったか ―― 診断10問と、実際に打った8手
この記事は「型」ではありません
AIとの壁打ちについて、私は無料で4本書きました。最初の1文に軸を置くこと。答えが浅いときの3つの動かし方。出力を検証する3問。対話を1枚に変える手順。
型としては、あれで足ります。実際、書いた本人がいまも使っています。
ただ、型を知っていることと、自分の案件で浅さが直ることは、別でした。
私は自分のAIとの対話ログを、ためてあります。数か月分、やりとりの数でいえば300回を超えます。読み返して分かったのは、浅いまま終わった回と、深くなった回の差は、型の有無ではなかったということです。差がついていたのは、浅くなった瞬間にこちらが何を言ったか、その一言のほうでした。
そして、その一言はいつも同じではありませんでした。詰まっている場所によって、効く言葉が違う。
この記事は、その場所の特定と、場所ごとに実際に打った一言をまとめたものです。汎用のプロンプト集ではありません。自分のログから、浅さが動いた場面だけを抜き出して整理しました。
なぜ「もっと深く」では深くならないのか
浅い答えが返ってきたとき、多くの人は「もっと深く」と打ちます。私もそうしていました。
返ってくるのは、たいてい言い換えです。同じ内容が、少し長く、少し難しい言葉になって戻ってくる。
理由ははっきりしています。「深く」は方向の指定になっていないからです。
深さには方向があります。前提をさかのぼるのか、場合分けを増やすのか、具体の粒度を細かくするのか、時間軸を伸ばすのか。どれも「深く」ですが、行き先はまったく違います。方向を指定しないまま「深く」と言えば、AIは無難な方向、つまり「長くする」を選びます。
だから最初にやるのは、深く掘らせることではありません。いまどこで詰まっているかを特定することです。
診断:あなたの壁打ちはどこで浅くなっているか
次の10問に、あてはまるものだけチェックしてください。直近の3回くらいの対話を思い出しながらで結構です。
[ ] 1. AIの答えを読んで「そのとおりだけど、で?」と思ったことがある
[ ] 2. 3往復くらいすると、最初のほうより話が抽象的になっている気がする
[ ] 3. AIの結論に反論はできない。だが、実行もできない
[ ] 4. 前に決めたはずのことが、いつのまにか違うものに変わっている
[ ] 5. 具体的な案件を聞いたのに、一般論のフレームワークが返ってきた
[ ] 6. 場合分けが要ると思うところが、一律に処理されている
[ ] 7. 昨日の対話と今日の対話が、つながっている自信がない
[ ] 8. 話しているうちに、何の話をしていたのか分からなくなる
[ ] 9. 答えが「まとまりすぎ」ていて、引っかかるところがない
[ ] 10. 「もっと深く」と言っても、言い換えが返ってくるだけだった
チェックが3つ以上ついたなら、この先が役に立ちます。ゼロなら、この記事は必要ありません。無料の4本で足りています。
ここから先は、10問それぞれがどの詰まりどころに対応しているか、そしてその場所で私が実際に打った一言を書きます。8つあります。
すべて、自分の対話ログから抜き出した実際の文です。作文ではありません。ただし、勤務先や案件が特定される部分は言い換えてあります。