
坂本龍一『音楽図鑑』㊗️40周年

1984年10月24日リリース、MIDIへ移籍、schoolレーベル設立第1弾
間に「戦メリ」はあったが、81年『左うでの夢』以来3年ぶりの待望のアルバムとあって期待せずにはいられなかった、リリース前よりレコーディングでナンジュッ曲も作り溜めているというエピソードもありつつ、ニューウェイヴもテクノポップも一段落した上で何が来るのか、内容に関しては全く読めなかった
最初に聴いたのは「サウンドストリート」のMIDI発足記者会見の回で「セルフポートレイト」と「チベタンダンス」がオンエアされたが、まだ8月だったので、坂本自身も勿体無いと言っていた、出来れば自分もそんなに早く聴きたくなかったが(発売日に買ってきて家で初めて聴くというのが理想)、最初にかかった「セルフポートレイト」は特に新しい!とか思った記憶もない、『B-2 UNIT』『左うでの夢』から『戦メリ』(そして『Avec Piano』或いは『Coda』)の流れでサウンド自体の新しさからメロディの良さ=普遍的なポップさみたいなものへシフトしてる感じがあった、『音楽図鑑』以後は「FIELD WORK」を皮切りに『Esperanto』『未来派野郎』辺りまでサンプラーを駆使したビート強めの音楽になっていくが、『音楽図鑑』は途中からFairlgihtが導入されたので、まだそこまで徹底されていない、かといってニューウェイヴやテクノポップでもなく、特に何があるというわけでもない過渡期だったからこそ、坂本龍一も特にコンセプトを決めず、ただひたすらレコーディングをして曲を溜めていったわけだが、そうして完成した『音楽図鑑』はアルバムという1つの塊ではガツンとくることはない、まさに図鑑のようなアルバム、しかしリアルタイムで聴いた者にとっては、この頃流行り出したニューアカブームと共に「84年の坂本龍一の今」が結果的に色濃く反映された作品であったことには違いない
発売当時のレコードは3種類存在する、①初回オリジナル盤(シュリンク+ステッカー、ボーナス12インチつき)、②ボーナス12インチから7インチに変わったセカンドプレス(シュリンク+ステッカーではなく帯)、③1ヶ月後にリリースされた「高品質レコード」(セカンドプレスと同仕様)、何が高品質だったのか不明、おそらく当時松田聖子とかのアルバムでもあったマスターサウンド盤なのではなかったか、要はCD用マスターだろうから、CDを買えば良かったのだが、まだまだCDは出始め過ぎて遠い存在だったので、内容は同じと思いながら「高品質レコード」も買ってしまったのだが、今となってはデジタルマスター(CDが新しく生まれたことによる産物)のアナログレコードってどうなの?とも思うものの(実は最近のレコードの殆どがコレ)、坂本龍一の久々のアルバムということで気合いが入り過ぎてた思い出でしかない
『音楽図鑑』UK盤、おそらく86年初頭にリリース

当時輸入盤店で見かけたが、改変された曲目を確認しただけで買わず、それを35年後に手に入れたのは収録されている「Steppin' Into Asia」がシングルヴァージョンではなくCDヴァージョンというのが分かったからである、そもそもそのCDヴァージョンの存在を知ったのは89年のベスト盤『Gruppo Musicale』を聴いていた時で「あれ?何か違うな」と、その後リリースされた『Field Work + Steppin' Into Asia + The Arrangement』など「Steppin' Into Asia」をCDでしか聴かない時期が長く、それに慣れてしまって、30年ぶりに7インチを聴いたら違和感… ともかくWikipediaにはCD化の際に別ヴァージョンを作ったとあるが、「Steppin' Into Asia」発売当時に出演した「夜のヒットスタジオ」用の「TV TRACK」(91年『Behind The Mask + 3』に初収録)がまずあり、そこでCDヴァージョンの原型が作られている、「TV TRACK」は文字通りテレビ用に尺が短いため、それをオリジナルの尺に再構築したのが、CDヴァージョンということなのだが、そもそもその初出はCDではなく、この『音楽図鑑』海外盤だったのではないか?ということです
「戦メリ」のサントラが海外でもリリースされた流れで『音楽図鑑』も流通させたかったものの、おそらくそのままの内容では話がスムーズに通らず(ゆえに日本盤から1年以上かかり)、その後にリリースした2枚のシングル「Field Work」「Steppin' Into Asia」を収録して改めて選曲/曲名/曲順が再構成された、っていうようなことが数年後の『BEAUTY』でも似たようなことになってしまう
プロモオンリー7インチシングル

84年10月24日リリースのアルバム『音楽図鑑』からはシングルカットがなかったが、このようなプロモ盤が作られていたことを知るのはだいぶ後のことになる、改めて7インチを集める段階になって、そういえばこんなのあったかも、といった具合、なかなかレアなのですが
やはりサウンドストリートで最初に「セルフポートレイト」がかかったこともあって、これがリード曲というかイチオシだったのかもしれないが、狙いはわかるにしても、やはりここは「チベタンダンス」ではなかったのか、いや単に「チベタンダンス」の7インチが欲しいだけの主張ですが、いずれにしろ『音楽図鑑』収録曲の7インチは嬉しいものである
「羽の林で」はPVが作られ(リリース後に確かビデオデッキのCMにも使われ)、「セルフポートレイト」は86年の映画『子猫物語』にも使われた
『音楽図鑑』セカンドプレスのボーナス7インチシングル

初回盤は12インチ(A面「Tibetan Dance (Version)」、B面に「Replica」「マ・メール・ロワ」)、セカンドプレスと高品質盤が7インチ(A面「Replica」B面「マ・メール・ロワ」)となっており、当時自分が買ったのは初回盤と高品質盤なので、こちらは高品質盤のもの、流石にセカンドプレスを買う理由はない
A面「Replica」は『音楽図鑑』リリース数ヶ月前に「題名のない音楽会」にてオーケストラで演奏されたのを聴いたのが最初、その後ナムジュンパイクとコラボレーションしたビデオ作品『ALL STAR VIDEO』でも「Replica」のビデオが作られ、そのイメージが強い、というのもやはりボーナスシングルはCDのボーナストラックと違って、実際レコード盤を取り換えないとならないので、当時『音楽図鑑』をレコードで聴く時は毎回ボーナスシングルまで聴いてたわけでもない、ただ当時はまだCD時代ではなかったので、ボーナストラックという事自体が珍しかった、『音楽図鑑』の場合は曲を沢山溜め込んでしまったため、収録したい曲がLPサイズに収まらないので別途ボーナスにしたという理由であった
B面「マ・メール・ロワ」はラヴェルの曲名と同じの同名異曲、リリース後に本人出演の「アルバサクセス」のCMに使われた
アルバサクセス・プロモ用7インチシングル

このようなノベルティが作られていたことを知るのはALBAのCMが始まってからではなく大分後、当時キャンペーンでポスタープレゼントがあって当たったのだが、このレコードは時計を買った人用の賞品だったのかもしれません
7インチゆえの難癖をつけると「M.A.Y. in the BACKYARD」はいいとして、そもそも「マ・メール・ロワ」は『音楽図鑑』のボーナスシングル(セカンドプレスの7インチとダブり)収録曲なので誠に勝手ながら嬉しくない、両曲ともCMに使われたから仕方がないのだが、そもそもこのCM、ジャケ裏の写真で少し想像出来ると思いますが、裸の男女が佇んでいるだけで、喋りもしないし、何かをするわけでもない、商品の時計もハメてない、なんなんだと、自由闊達、80年代特有のイメージ広告たるゆえん
M.A.Y.とは5月のことではなく、当時可愛がっていた3匹の猫の名前より、M=モドキ、A=アシュラ、Y=ヤナヤツ
「羽の林で」や「Replica」のPV、アルバサクセスのCMなどはYouTubeにあるのはあるのだが、非公式のためリンクは割愛
翌年、『音楽図鑑』のビジュアルブックも発売された