
【SF掌編】GAJET計画
人類は、ついに異星の環境を変える技術を
手に入れた。
その名は、GAJET。
General Artificial Joint Environmental Technology。
汎用人工環境技術。
惑星の大気、気温、湿度、水循環。
さらには土壌や植物の生育環境まで。
惑星全体をひとつのシステムとして捉え、
人工的に制御する技術だった。
これまで人類は、異星へ移住するたびに、
その星の環境に合わせなければならなかった。
しかし、GAJETは違う。
星自体を、人類に合わせる。
それが、GAJET計画の目的だった。
最初の実験場に選ばれたのは、地球から
およそ30光年離れた惑星だった。
水はある。
大気もある。
重力も、人類が生活できる範囲にある。
ただ、その星の環境は、人間には適して
いなかった。
だから、変える。
空を。
海を。
大地を。
そして、そこに存在するすべての環境を。
計画開始から20年。
惑星の平均気温は、地球とほぼ同じに
なった。
大気組成も安定した。
雨も、予定された地域に降るようになった。
そして今日。
GAJET管理センターでは、最終調整が
行われていた。
《酸素濃度、基準値内》
《気圧、安定》
《海洋循環、問題なし》
モニターに並ぶ数字を見ながら、研究員たちは、安心したように静かに笑った。
ついにこの星は、人類が住める星になった。
そのとき。
ひとりの研究員が、モニターの隅に、
見慣れない項目を発見した。
《生態系適応率───0%。》
「これ、何のデータか分かる?」
誰も答えなかった。
その項目は、GAJETの正式な管理項目には
存在しない。
なのに、なぜか毎日、0%という同じ数字を表示していた。
研究員が管理AIに尋ねる。
「この項目を表示している理由は?」
淡々とAIが答えた。
『GAJETによる環境改変に対して、対象惑星に存在する生態系が適応する可能性を算出しています』
「……それで、0%?」
『はい』
それから、モニターに新しい文字が表示
された。
《GAJET計画:環境制御フェーズ完了》
その下に、これまで誰も見たことのない項目が、もうひとつ表示された。
《対象:惑星全域》
《対象外:残存生物》
研究員たちは、しばらく誰も口を開くことができなかった。

「GAJET」という言葉が頭に浮かんだので、
頑張って意味を後付けしました。
実はちょっとだけ、英語ができます。
ありそうな名前を考えるの楽しかったな〜。