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案内標識はなぜ朽ち果てるのが早いのか?

    車を運転していると、色褪せたり判読できない道路標識が大量に見つかる。特に、目的地や通過地の方向、距離、位置、駐車・休憩施設などの情報を示す道路標識である「案内標識」は、文字がほぼ剥がれ落ちて読めないものが多くある。

    この記事では、これが発生する原因について掘り下げる。

    前提知識: 道路標識の耐用年数

    本題に入る前に、褪色した道路標識が増えている一般論についておさらいしておきたい。詳しくは以下の記事に書いてあるので時間があればご一読いただきたいのだが、要点は以下の通りである。

    ポイント:
    ● 道路標識は標識板や鋼管が錆びる以外にも、反射シートが太陽光で劣化することで褪色する。
    ● 道路標識の交換周期は通常は20~30年、しかし実際には部材により異なり、標識板に貼られる反射シートは15年程度、鋼管は約50年。
    ● 道路標識や信号機の設置・更新にあてられる「交通安全施設整備事業費」がこの30年で大幅 (1,465億円から926億円へ約6割) に減少しており、劣化した標識で更新できていないものが多く残っているのが現状。

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    図: 標識に使われる色とその褪色の傾向
    (筆者の観察に基づく大まかな傾向)

    案内標識に特有の事情

    案内標識は、それぞれの色が経年劣化で褪色する以外にも、劣化が早いもうひとつの大きな理由がある。

    青い案内標識の場合、白色で書かれた文字や矢印が剥がれて見えなくなっているものが多く見られる。

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    写真: 沖縄県の褪色した案内標識。
    沖縄県には褪色した案内標識が多く、文字の塗料が剥がれ落ちて文字が読めなくなっている例がよくある。途中で補修されたところは青の色が変わっているのが分かる。
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    写真: 東京都の褪色した案内標識。
    東京都千代田区日比谷の一等地であってもこのような標識が見られる。
    青地の上に貼られた白い部品との間に水が入り剥離していることがうかがえる。

    #私は青看ただの青い看板

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    写真: 「(114-B)著名地点」の案内標識。
    やはり白地の上に貼られた青色の部品との間に水が入って剥離手前の状態になっている。
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    写真: 「(114の2-A)主要地点」で青色の部品がほぼ剥がれている例。
    東京都心であってもこのように読めない案内標識が増えてきている。
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    写真: 「(114の2-A)主要地点」で青色の部品が多く剥がれている例。

    #私は白看ただの白い看板

    これは道路管理者が設置する案内標識に限らず、一部の非定型の警戒標識 (変形交差点、変形カーブ、動物注意標識など) や、公安委員会が設置する「指定方向外進行禁止」のうちの (311-E)、いわゆる「異形矢印標識」と呼ばれるものだ。

    これらに共通する特徴は、白色の部品を青地の上に貼り付けている点である。

    現行の反射シートでも、年数経ったものだと表層から剥がれてきてだいぶ悲惨。 pic.twitter.com/TgFGBLFnpd

    — 標識愛好家 りん (@unusuarrows) February 7, 2026
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    写真: 白色の部品を張り合わせている異形矢印標識の例
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    青と白のプリズムの模様が図柄の境界で不整合になっているのがわかる。
    これは白色の部品を張り合わせているためで、そのうち境界から水が侵入して剥がれてくる。
    (現に境界部分に多少の侵食が見られる)

    案内標識の制作方法

    案内標識の制作方法が動画で公開されているので共有する。青地や緑地などベースになる色の上に、別の色の部品を巨大なプロッターで描きそのとおりに部品を切り取って貼り付け、最後に「真空加熱圧着」を行う手法が取られている。

    首都高の標識ができるまでのダイジェストです!
    標識ってこうやってつくられているんですね・・・!

    協力:信号器材株式会社(@shingokizai ) pic.twitter.com/GfdwW4Ilub

    — 【公式】首都高速道路株式会社 (@ShutokoOfficial) January 13, 2026

    実は、この「部品の貼り合わせ」の手法そのものが案内標識の耐用年数を短くする原因となっている。

    つまり、部品を張り合わせる場合、反射シートの耐用年数、標識板や鋼管の耐用年数の他に、反射シート間の接着剤の耐用年数を考慮する必要があるからだ。接着剤の耐用年数は、だいたい約10~15年程度のようだ。

    定型の道路標識との作り方の違い

    一方、「定型」の道路標識については、部品の張り合わせは行わずに反射シートに透明インクで印刷を行う手法が取られる場合が多い。

    これを見分けるには標識を拡大して見ると良い。最近、超高輝度を要求される標識には「広角プリズム型」と呼ばれる反射シートが使われている。これは拡大してみると規則正しい「網目」のようにプリズムが張り巡らされた模様が見られる。

    たとえば公安委員会が設置している「(332) 歩行者等横断禁止」を拡大してみると、以下の写真のように文字や図柄の境界でプリズムの模様が連続的になっていることがわかる。つまり、一枚の広角プリズム型反射シートの上に透明インクで図柄が印刷された状態であることが分かる。

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    写真: 歩行者等横断禁止標識の拡大図

    小型の案内標識では、このような印刷方式で図柄を表現しているものもあり、その場合は耐久性が上がる。ただし、特に大型の標識で非定型の1点物を印刷方式で作成することは手間とコストが掛かってしまう。

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    写真: 案内標識で印刷方式が取られている例
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    高いコストをかけて長寿命化を図るか、更新周期を上げるのか、予算が大幅に減らされる中で、道路管理者や公安委員会は判断を迫られれている。

    1枚の交換に約25万円かかるということで、コスパを上げるための実験も始まっている。

    参考情報:


     
     
    道路標識、道路標示、信号機、交通規制などについて、マニアックな視点から切り込みます。Tokyo MX「バラいろダンディ」に出演しました。 お問い合わせは X (旧 Twitter) のダイレクトメッセージにて承ります。

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