
意外と知らない? 信号機の数え方🚥
交通信号機はどう数えるのか?この記事では知っているようで正しい情報が意外と知られていない「信号機の数え方」について掘り下げる。
交通信号機はどう数える?1本、1台、1個、1機、1基、1灯…
色々な記事を見てみると、1つ、1か所、1交差点、1灯、1基、などいくつかの単位で呼ばれている。タクシーに乗っていて「2つ目の信号の前で下ろして」みたいな言い方をよくするだろう。ただし「~つ」は万能の数え方なので、信号機特有の単位は何かを検索して調べてみると「基」という答えが見つかるはずだ。
「~基」とは、例えば公園のベンチ、モニュメント、神社の鳥居、歩道橋、信号機、タワー、観覧車、ダム、原子力発電所、エレベーターやエスカレーター、墓石やお墓などの基礎部分を含む構造物、天守閣や櫓やピラミッドなどの重要な建築物、人工衛星、変わったところではお供え花に至るまで、「建物の土台や基礎、据え付けてあるものを数える時」に使うとのこと。普段の会話ではあまり使わないかもしれない。
「信号機は1基と数える」…ここまではインターネット上で調べればすぐに入手できる情報である。
交通信号機「1基」とはどの範囲?
それでは「信号機1基」とはどこまでを指すのだろうか。これについて読者の皆様は考えたことはあるだろうか。
以下のような、信号柱に取り付けられた信号機。これは「1基」なのだろうか?

…答えは「ノー」である。
信号機の数え方については警察庁が基準を出している。明確に説明された資料が、たとえば栃木県のウェブページにある。「信号機1基」とは、下図のような交差点、横断路の設置状況のことを指す。

出典: 栃木県「信号機管理の考え方令和6年版」
信号機は信号柱1本に設置されている信号機だけで役割を果たすわけではなく、交差点や横断路にあるすべての信号機が連携して動作することで初めて役割を果たす。つまり、信号機として役割を果たす単位を「~基」と数えることになる。
警察庁が毎年公開している「都道府県別交通信号機等ストック数」によると、2024年 (令和6) 3月末の全国の信号機のストック数は約21万基である。ちなみに、信号機密度は日本が世界トップクラスなのだとか。
ストック数の資料を見ると、「基」とは別に「灯」という単位で信号灯器数が数えられている。車両用灯器は全国で約126万灯、歩行者用灯器は全国で約105万灯、合計231万灯ある。これを計算してみると信号機1基あたり平均で11灯の灯器から構成されていることになる。たとえば、市街地で見られる平均的な以下の交差点では合計12灯の灯器が「1基」の中で使われている。

「信号機1基」はよく間違った使われ方をされる
交通事故について取り上げているオンライン記事などで、「信号機に衝突をして壊したら1基300~500万円」と書かれているが、交通事故で損傷するのは信号柱1本とそれに設置されている機器なので、これが300~500万円するわけではないことに注意しよう。信号機の部品表に出てくる部品単価と工事の労務単価を計算しても、計算が合わないはずである。
また、Wikipediaにも交通信号機のページがあるが、このページでの「基」の単位の使われ方にも混同が見られる。「日本では車両用は全国に126万基以上ある」などと書かれているが、これは警察庁の数え方の基準からすると誤りである。
信号機マニアの間での会話や投稿でも間違った使い方が見られるので注意が必要だ。
信号機を構成する部品の数え方
信号機を構成する部品の呼称については、信号機工事業者宛に都道府県が出している「工事実施仕様書」「工事実施に使用する単価表」「工事入札情報」などを参照するとよい。たとえば岐阜県が出している「実施設計書に使用する単価表」の中に、各部品を数える時の「単位」が掲載されている。
それによると、信号柱は「1本」、信号灯器は「1灯」、灯器取付用のアームは「1組」、交通信号制御機や発電機などは「1基」と数える。

では、上の図にあるセット全体はどういう単位で数えればいいのか?実は、この単位の正式な呼び方は存在しない。行政や工事業者からすると、信号機の管理の単位は交差点や横断路のシステムまるごとであったり、各部品の移設、更新、撤去であるためである。
信号機の「本体」は灯器ではない? コアな部分は「交通信号制御機」
信号機で目立つのは信号柱とそれに設置された信号灯器であるが、交通信号機の「本体」は実はそこではない。信号機のコアの部品は「交通信号制御機」と呼ばれる信号柱の低い位置に取り付けられた「箱」である。

出典: 京三製作所
この箱の中には、すべての信号灯器のサイクル (現示)を制御したり、交通管制センターや他の交差点の信号機と連携を取る、感応式のセンサーを元にサイクルを調整する、といった高度な機能も含めてすべてを制御するコンピュータが入っている。この交通信号制御機の数え方も「1基」である。
交差点や横断路に設置されている信号機の中に、必ず交通信号制御機が1基設置されている。このため「信号機1基」というのは交通信号制御機を数えていると考えることもできる。
この交通信号制御機だが、価格は1基100万円近くする高額なもので、信号機設置の総費用のうちの結構な割合を占めることになる。交通事故を起こした時には交通信号制御機が設置された信号柱にだけはぶつからない方が良い。
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