
雨が降ると叫ぶ小学生
実家の裏には、団地のようなマンションがある。
ウチの方に向かって、ずらっとベランダが並んでいた。
30戸を超えるマンション。
実家は戸建てなので、
物干しざおの上に屋根はない。
6人家族だったので洗濯物の量も多かった。
だから、雨が降り始めると、
母や弟と必死になって取り込む。
(…あ…!
マンションの人、布団干してる!)
1軒のベランダに、
布団が干しっぱなしになっていた。
布団が濡れたら、大変そうというのは
子ども心にもわかっていた。
(絶対濡れるよね…?)
(もう…アレしかない!)
「雨―!雨だぁぁぁぁ!!!」
小学生だった私は、ばかデカい声で叫んだ。
-- ガラッ!
-- ガラッ!
-- ガラッ!
まだ雨に気づいていなかった
マンションの人が一斉にベランダに出て
洗濯ものを取り込む。
布団の家はまだ出てこない。
「ねぇー、雨―!雨降ってるぅ!!!」
自分の家の洗濯ものは
無事取り込まれたのに叫ぶ小学生。
ちょっとだけ恥ずかしいから、
家族に向かって言っている風に叫ぶ。
-- ガラッ!
-- ガラッ!
他にも気づかなかった人が
2回目の声警報で、慌てて出てきて
洗濯ものを取り込む。
大本命だった布団の家も気づいてくれ
布団は無事、取り込まれた。
(ふぅー…良かった)
ひと仕事終えた私は、ポテトチップスを片手に
「あさりちゃん」を読み始めた。
それからというもの、
家にいて雨が降ると
しばらく「デカい声警報」を鳴らしていた。
あの頃____。
きっと「あら、また警報が鳴ってるわ」
と重宝してくれていた人がいるに違いない。
ちなみに、このマンション。
以前、なぜか我が家とインターネットでもつながっていた。