
八ヶ岳の涼風を届けたい|エッセイ
暑中お見舞い申し上げます。
暑さ厳しき折、皆様いかがお過ごしでしょうか?
突然ですみません。
暑中見舞いの時期になると、
私は決まって伯父さんを思い出します。
今日は
葉書にのってやってきた、
八ヶ岳の風のお話をしたいと思います。
読みに来てくださったあなたへの
暑中お見舞いになれば幸いです。
私には学生の頃、リアルあしながおじさんがいました。実家は経済的に厳しく、奨学金やバイトだけでは大学生活を維持するのが難しい状況になったことがあります。そんな時、細かいことは言わず、経済的に援助してくれたのが伯父さん、伯母さんでした。
その時の援助のおかげで私は無事大学を卒業し、技術者として職を得ることができました。
さて、その伯父さんとは葉書でやりとりする習慣がありました。初めは、子供の頃に親に言われて書いていたのだと思いますが、暑中見舞いや年賀状など、節目のタイミングで短いやりとりを繰り返していました。
頻度は少なかったですが、社会人になっても、新たな家族ができても、伯父さんが亡くなるまで毎年続けていました。
猛暑が続いていた、ある夏のことです。
伯父さんから暑中見舞いの葉書が届きました。
いつも通りの暑中見舞いの挨拶だと思っていましたが、私はその中の一言に心を奪われました。
「八ヶ岳の涼風をお届けします。」
今でもその瞬間をはっきりと思い出せます。
確かに風を感じました。
葉書に書かれた、ただの文字に風を感じたのです。
子供の頃、毎年お盆の時期は、家族で母方の田舎へ遊びに行っていました。そこで感じた、夏なのに涼しかった風の記憶が鮮明に蘇ってきたのです。
葉書には、他にも伯父さんの近況と、私を気遣ってくれる言葉が書いてあったと思います。私も似たようなことを毎年書いていた記憶がありますが、それは予定調和だったのかもしれません。
だけど
「八ヶ岳の涼風」
は何故か新鮮で、確かに私の中に流れ込んできました。
私も誰かに
八ヶ岳の涼風を届けてみたい。
だから私は書きたい、書いてみたい。
そう思う今日この頃です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
皆様、暑い日が続いておりますが、ご自愛くださいませ。
よかったら他にも夏っぽい作品をどうぞ。