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たまたま。|ショートショート

    高校生になって、彼女が出来た。

    サチは同じ学校の女子だった。学年はひとつ下。

    たまたま同じ電車で同じ時間に通学していて、
    たまたま同じ委員会になって、
    たまたま同じコンビニでバイトすることになったのがきっかけだ。

    こうもたまたまが続くと、何か運命的なものを感じてしまう。よく話すようになって、いつの間にか一緒に遊ぶようになって、気がつけば付き合っていた。

    サチはヤキモチ焼きだった。
    クラスの女子と趣味の話をしていたのを、たまたま見られたことがあった。

    その時のサチの表情は般若のようだった。

    その日、夜寝るまでほぼ数分おきにメッセージの通知が届き続けた。

    たまたま腹の虫の居所が悪かったのだろう。

    普段はとてもかわいい。そう、般若の顔はたまたまだ。

    サチと付き合いだしてから、男友達と遊ぶ機会が減った気がする。まあ、これも、たまたまだろう。もしかしたら僕に彼女が出来て、みんな逆に気を遣っているのかもしれない。

    * * *

    高校生になって、彼氏が出来た。

    ユウヤ先輩は同じ学校の先輩だ。学年はひとつ上。

    同じ電車に乗れるように、通学時間を合わせた。
    ユウヤ先輩と同じ委員会に入った。
    同じコンビニでバイトをして仲良くなった。

    ここまでしても、なかなか思うようにはいかない。よく話すようになって、一緒に遊ぶようになって、ようやく付き合うことが出来た。

    私はヤキモチ焼きだ。
    先輩がクラスの女子と、趣味の話をしているのを知っている。毎日陰から見守っていたからだ。

    その時は気持ちが抑えられなかった。
    酷い顔をしていたのは自分でもわかっている。
    夜寝るまで、ユウヤ先輩の気持ちをメッセージで確認しないと正気を保てなかった。

    これが本来の私だ。たまたまなんかじゃない。
    私、全然かわいくない。

    ユウヤ先輩はわたしのもの。
    たとえ男友達でも、わたしのライバルなら容赦しない。徹底的に排除した。

    * * *

    この前、たまたま友達のハルトとすれ違った。
    その時に酷い噂を聞かされた。

    サチはストーカーで、付き合っている今でも僕を裏で監視し、束縛しているという。

    サチに振られでもしたやつの腹いせの一言が、たまたま噂として広がったのだろう。

    ハルトが別れ際に、目を覚ませと言ってきた。

    まあ、噂が本当だとしても、たまたま彼女がストーカーなだけだろう。


    読んでいただき、ありがとうございます。

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    短編小説やショートショートが好きで書いています。 身近な物や風景を介して、人の感情を感じてもらえたら嬉しいです。 普段は製造業で装置開発をしています。 装置屋の視点が時々紛れ込んだり、込まなかったりします。笑

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