
ひいおじいちゃんのまごむすめのはなし
まごむすめの名前は、ひいおじいちゃんがつけました。姉も妹も「〇子」という名なのに、自分だけ「子」が付かない名前だったので、おじいちゃんに「なんでなの?」と聞きました。
当時、ひいおじいちゃんは、町の見番(芸者さんたちの事務所のようなところ)をしていました。「お前の名前は、そこの芸者たちの中で一番の美人の名前をもらったんだ。いい名前だろ。」と言われました。
まごむすめは、ひいおじいちゃんのお気に入りで、料亭とか芝居小屋とか、いろんな所へ連れて行ってもらいました。
それは、学校へ上がって間もなくのことです。2人で汽車に乗って2時間ほどの旅でした。まごむすめは、ひいおじいちゃんの財布を、自分の赤い巾着袋の中にあずかっていました。
「どうして、わたしにお財布を預けたの?」と、旅が終わってから聞いてみたそうです。
「わしのように、いかにも金持ちそうなじいさんだと、スリに狙われやすいんだ。だから、お前に財布を預かってもらった。お前なら大金を持ってるとは思われないからな。」
「それに、お前は大金が入っている財布を預かっても顔色一つ変えないからな。家族の中でそういう奴はお前だけだ。」
女学校へ上がるまで、そんなお供が何度かあったそうです。