
父親とのキャッチボールで気づいた、上司との飲み会で気に入られるコツ
小学生の頃。
休日、勉強をしていると父親から言われる。
「キャッチボール行くぞ」
普通の子供であれば喜ぶのだろう。
しかし私にとっては自分の武勇伝ばかりを語る上司からの「今日飲み行くぞ」の言葉と同じだった。
「今日はちょっと」
そんなことは言えない。
せっかく誘ってやったのに何様のつもりだ!
と翌日まで不機嫌になるからだ。
当時の父親の機嫌は、私が健やかに過ごせるかどうかの重大事項だったのだ。
私は明るい声で「行く!!」と返事をする。
そして近くのグラウンドへ向かう。
その間も楽しそうな雰囲気を醸すことを忘れない。
行きたくないそぶりを見せると
「行きたくねえのか!!」
とたちまち不機嫌になってしまうからだ。
さて目的地に着いた。
私はすぐさま走ってウォーミングアップに適切な距離を取る。
このキャッチボールが本当に楽しみである。そう示すためのアピールだ。
相手の取りやすいところへ、1球1球丁寧に投げる。
しかし同時にテンポの良さも忘れない。 会話のキャッチボールと同じである。
距離が少しずつ離れていく。
次第にコントロールも難しくなる。 どうやら酔ってきたようだ。
しまった、暴投をしてしまった。
父親の後ろを転がっていくボール。
「どこ投げてんだ!!!取ってこい!」
もちろん全力ダッシュで取りに行く私。
キャッチボールをしていただく場を頂戴する立場なので当然である。
これは私の配置ミスでもある。
父親の後ろは壁かフェンスにしておくべきだった。反省。 席には気を遣わなければならなかった。
キャッチボールが再開する。
今度は相手の投げる球もかなり荒れてきた。
そしてついに暴投をした。
「あ、わり」
きちんと謝れて偉いな。
そんなことを思いながら私は走ってボールを回収しにいく。
キャッチボールが終わった。
これで帰れるか・・・?
いやどうやらノックが始まるようだ。
2次会に突入である。
打球の速さや強度はこちらが決めなければならないらしい。
なるほど、次のお店選びは私の役目ということか。
相手が疲れない、かつ退屈もしないメニューをオーダーする。
左右に振られながら、一歩目を遅らせてギリギリ捕れているように見せる私。
暴投だけはしないように集中力を高める。
ギリギリ捕れる打球を打てている相手は満足気だ。
ほろ良い気分でバットを振っている。
ついにノックも終わった。
ここで「やっと終わりか」というそぶりを見せては台無しだ。
まずは相手を労うことが鉄則である。
「もうお疲れでしょう。明日も仕事ですし」その流れで自然に帰宅を促す。
良かった。今日はもうお開きにできるようだ。
こうして私のキャッチボールは終わるのであった。
社会人になったとき。
私はなぜか上司に飲み会によく誘われた。
そして仕事にも良い影響があった。
特別なことはやっていない。意識もしていない。
お世辞をいった記憶もない。
思い出すのは父とのあの日のキャッチボール。
あの経験が今の私を作ってくれたのだろうか。