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アートギャラリーの女というブランド❷

    映像作品に付加される2つの価値

    1,文化資本の付与 

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    「ノクターナルアニマルズ」


    映画やドラマの中で、アートギャラリーの女が置かれるのは偶然ではない。
    理由は二つある。

    一つ目は、アートギャラリーの女が、
    一瞬で「文化資本」を示すことができるからだ。

    文化資本。
    それは、単なる教養ではない。

    生家にあった質の良い書籍群。
    美術館や博物館に、当たり前のように赴く経験。
    質の高い素材や作りを見抜く目。
    どんなラグジュアリーな席でも、
    あるいは粗末な席でも、萎縮しない身体感覚。
    全方位的な興味と知識。
    それらすべてを支える実家の資本と、
    階級と、揺るぎない教育。

    そういうものは、姿勢に出る。
    ちょっとした発言に出る。
    沈黙に宿る。

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    「ノクターナルアニマルズ」


    2 主人公への信用の付与


    二つ目は、アートギャラリーの女が
    「誰をそばに置くか」によって、
    その人間の信用まで示すことができるからだ。

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    「Emily in Paris」


    アートギャラリーの顧客は特殊である。

    不動産王、投資家、医師、弁護士などの
    一般的な富裕層だけではない。

    スーパーゼネコンの会長、ロスチャイルド、
    ハプスブルク、英国王室関係者、
    世界的に有名なアイドル、、、
    そういう人々のプライベートを知る立場になる。

    目が肥えている、と言いたいのではない。
    口が堅い、と言いたいのとも少し違う。

    私たちは、顧客のプライベートの
    内側に入り込む人間である。

    誰がどこに住んでいるか。
    別荘はどことどこにあるか。
    どの国に銀行を置いているか。

    誰がどんな家にどんな作品を買ったか。
    どの企業の誰が、まだ公になっていない
    話をしていたか。
    時には、その情報が株価に直結する
    ことすらある。
    そういうことを知る立場にいる。

    しかし、それを面白がって話すことはできない。
    知っていることを、持ち物のように見せびらかすこともできない。

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    「Emily in Paris 」での一コマ

    だから、アート業界の女は、
    自分のそばに置く人間を選ぶ。

    下世話に知りたがらない人。
    有名人や富裕層に、ミーハーに興奮しない人。
    人の秘密を、自分の価値を上げるために
    使わない人。
    聞いたことを、外に漏らさない人。

    アート業界の女に親友として
    選ばれている主人公は、
    そういう意味で「信用できる人間」として
    描かれている。


    つまり、アート業界の女は、
    主人公が下世話でミーハーな
    人間ではないことを証明する、
    信用の記号なのだ。

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    「信用」を付与された主人公と
    ギャラリーに勤務する親友たち
     
     
    現代アート/障害児育児/国際結婚/イスラーム/政治と生活。 旧日本軍に従軍した祖父の記憶、ホロコースト・サバイバーとの出会い、現代アートを「人類の自浄作用」として見てきた時間を経て、命の尊厳、美、信仰、社会の欺瞞について書いています。

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