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愛は冷凍保存【風まかせ文芸部】

    夏祭りの帰り道。二人は屋台のソフトクリームを手にして歩いていた。
    男は決意を込めて口を開く。

    「えーっとですね、つまり僕は……あなたのことが、好きでして」
    「ふーん」彼女は視線を落としたまま、口元だけに微笑みを浮かべる。

    「いや“ふーん”じゃなくて! ここ、大事なとこですから!」
    「わかってるって。でもさ、もう溶け始めてんの。ほら」
    彼女はソフトクリームの先端から滴るバニラを慌てて舐める。

    「ちょ、ちょっと!僕の愛のほうを優先してもらえません!?」
    「いや、アンタの愛は逃げないけど、このソフトクリームは秒単位で消えるのよ!」

    男はムキになって手を振る。
    「じゃあ僕の気持ちは冷凍保存ってことですか!? マイナス18℃の!?」
    「そうそう。ラップしてジップロック入れて、あとで解凍しなさい」

    彼女は器用にソフトクリームを回し舐めしながら笑う。
    「てかさ、こういう大事なことは、今じゃなくて、りんご飴食べてるときとかに言いなさいよ」
    「え、でもりんご飴って、ガリガリ音がうるさくてムードゼロじゃないですか!」

    二人は顔を見合わせ、同時に吹き出す。
    「……なんか、両思いっぽいですね」
    「うん。でもとりあえず、このソフトクリーム食べきろっか」

    夜風に揺れる提灯の下、二人は小さな笑いとともに、甘くとろける夏の夜を分け合った。

     
     
    東京生まれ、東京育ち。たくさん旅をして、いろんな世界を見たけれど、やっぱり日本が一番落ち着く。でも、胸の奥に、うまく名前のつけられないモヤモヤがたまってきたので、ここではそれを、そっとこぼしていきます。

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