
ラッフルズホテル
ラッフルズホテルの名を知ったのはもう30年程前になるだろうか。
村上龍さんが監督した、同名の映画を観たことがきっかけだった。
シンガポールが観光大国として、その名を馳せ始めた頃だったと思う。
イギリスの文豪サマセット・モームが東洋の貴婦人と称して愛したホテル(どうでもいい英文科ウンチク)。
白亜の城を思わせる優美な造り。
シンガポールへ行くなら絶対に泊まろうと、長い間夢を見ていた。
で、夢に終わった。
10年ほど前、シンガポールに行く機会があったので、調べてみたら、1泊7万円超。
いや、普通に無理でしょ。
でも、恐る恐る今の値段を検索してみたら、さらに倍以上になっていた。
やっぱりこの時、ケチらないで泊まっておけばよかったかな。
泊まれないならせめて、見学させていただこうと、遠慮がちに敷地内に足を踏み入れてみた。
今はどうか知らないけれど、ゲスト以外にも一部、施設を公開していたんである。
立ち入れる場所は制限されているけれど、他のホテルとの格の違いをひしひしと感じる。
過去、ここに宿泊したであろう世界中の貴婦人たちの溜息が、今も漂っているような錯覚に陥る。


泊まれないのでせめて、ロング・バーでシンガポール・スリングを飲んでおくことにした。


当時のお値段は27S$。
今は、な、なんと、44S$‼️
軽く5000円を超える。
この時に飲んでおいてよかった。
ところで、小説の方のラッフルズホテルはイレギュラーで、映画を撮り終わったあとにノベライズしたもの。
なんでも主演の藤谷美和子さんに触発されてのことだとか。
なぜこんな昔話をしたかというと、もちろん、村上龍さんの逝去のニュースを受けてのことである。
いつまでも若々しいので、74歳という年齢も、亡くなったことも、いまいちぴんとこない。
最近は、ダイビングはしていなかったのかな。
コインロッカー・ベイビーズにもダイビングのシーンがあったな。
いつか、どこかの海で会いたかったな。
悲しき熱帯を、もう一度、読んでみたくなった。
Rest in Peace.
