メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【不可思議ショートショート】カバンの中の骨 

    まえがき


    企画に参加させていただきました! この度も素敵な企画ありがとうございました…!

    久しぶりに企画参加出来て嬉しかった&楽しかったです!
    ちょっと不思議?なSSです。

    本編(約1500文字)

    ※骨の表現が出てきます。

     部屋のテーブルの上に合皮のカバンを乗せた。中身を整理しようと、ファスナーを開けた瞬間だった。

    「ひっ……!?」

    私は思わずカバンから手を離して、遠ざけてしまう。ファスナーを開けた瞬間、一番目立つ場所に見えたもの。
    それは、何かの骨、だった。

    「な、なんで、骨、が……?」

     私の声は震えていた。 
     何かの見間違い、だと思いたくて、もう一度カバンの中を覗き込む。その動きは、まるで深い穴の中を覗き込むような動き。
    やっぱり、私のカバンの中に、骨、が入っていた。
     手のひらサイズの、白い骨。
     目に見える質感はざらついている。人工物、ではなさそうな質感をしていた。

     骨がカバンの中にあった経緯を考えていく。

     最後にこのカバンを使ったのは二日前。その日は二駅ほどの距離に住む学生時代の友人の家に行って、好きなアイドルのDVDを一緒に観たり、近所のスーパーでお惣菜とお酒を買って二人で飲み明かした。その時に何度かカバンを開け閉めした。帰る時はカバンの外に付けているパスケースと鍵で開けた。彼女の家にいた時がカバンを開けた最後。しっかり締まるファスナー式だから、隙間から入れる、というのも難しい。
    でも、カバンを開けたら、骨が入っていた。

    手のひらに乗るサイズの、何かの、小さな骨。何の、どこの骨なのか、は私には分からない。けれども、その骨は、確かにカバンの中、一番目立つ場所にあった。

     じゃあ、なんで、骨があるの……?

     その時、電話が鳴った。表示されていたのは昨日家に遊びに行った彼女の名前。
    一体なんだろう。私の心臓の鼓動が速くなる。

    「もしもし! 急にごめんね!」
    「う、うん……、何?」

     彼女の声は泣き出しそうな声をしていた。何を言われるのだろう。私の心臓が緊張で高鳴っていった。

    「あのさ、骨、入ってなかった?」
    「え……?」
    「その、骨のフィギュア、もうちょっとで完成なのに一つだけ足りなくって……! もしかしたら、机の上に残ってたの、荷物に紛れちゃってたかもしれないの……」

     彼女は半泣きになりながら話し始めた。私が遊びに来る少し前、組み立て式の骨格標本のおもちゃを作っていたらしい。けれども、パーツをテーブルの上に散乱させてしまったらしい。全て回収した、と思ったものの、今日、その骨格標本作りに勤しんでいたところ、そのパーツがなかったらしい。
     それで、そのテーブル、というのが昨日私と彼女が使っていたもの。そのテーブルの上でDVDを出し入れしたりだとかお金の精算をしたりしていたから、それで、私の荷物の中に紛れてしまったのかもしれない。

    「なるほど……、そういうことだったんだ……」

    私の中にとてつもない安心感が広がった。彼女は昔からちょっとおっちょこちょいなことがある、納得した。私もお酒が入っていたから入っていたことに気づかなかったのかもしれない。

    「いや、カバンの中に骨が入ってたからびっくりしちゃったよ」
    「そうだよね……! ごめんね!」
    「うん、今から持ってくよ」
    「ありがとー……!」

    私はカバンから骨を取り出して、紛れないように机の上に置いた。手に取ると、指先にざらりとした感触が伝わる。作り物、とは思えないほど精巧だ。最近のおもちゃって随分とリアルなんだなあ……。と思った。

    「あとは……」

     このまま持っていくとカバンの中でなくなってしまいそうだから何か袋に入れていこう。そんなことを考えていた時だった。
     再び電話が鳴り響く。彼女からだった。

    「もしもし! ごめんね!」
    「どうしたの?」

     ごめんね、とは言うものの、先ほどの半泣きの声とは違う、安心しきったような声が電話越しから聞こえてくる。

    「骨、あったの……! テーブルの下に落ちてたのさっき見つけて……! お騒がせしちゃってごめんね!」


     
     
    小説を書くことと断捨離を頑張りたい。(青春/ライト文芸/BL)フォロバやご返信はお気遣いなく。アイコンはお友達からいただきました。

    あなたへのおすすめ