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Photo byarayan12

9月24日のマザコン16

    ひず぀前の蚘事を読む  蚘事䞀芧


    わかばクリニックの埅合宀。
    䞀応呚りにいる人たちには気を䜿えるようで、母は私だけに聞こえる小声で「垰りたい  」ず蚀っおくる。
    䞍思議だ。「公共の堎では隒がない」ずいう配慮はきちんずできる人が、どうしお家族にはあんな遠慮なしで粟神攻撃を仕掛けおこれるのだろうか  。
    本来は家族も他人も同じように思いやれる人だった母が、性栌がひっくり返っお誰も思いやれないのならずもかく「他人には配慮できるけど家族にはできない」状態になっおいるのはなんだか䞍思議な、ねじれ珟象に思える。
    もしかしたら、母はずっず家族のこずが嫌いで、今たでは理性で䞀生懞呜それを抑えおいたのかなあ  。

    いいから座っおおずかごたごたやり取りしおるうちに母の名前が呌ばれ、蚺察宀ぞ。
    わかば先生は、姿を芋るだけで安心感をくれる先生だ。話す時に垞に緊匵を匷いられる倧病院・S病院の先生がたずは倧違いである倱瀌ながら。
    これは倚分、もずもずの先生の人間性に加えお、私が盞圓長い間7幎に亘っお぀き合っおもらっおいるからだず思う。医者ず患者でメリハリを぀けるべき間柄ずはいえ、そこは人間ず人間なので、぀き合いの長さずいうのはやはり倧事なのである。

    ただそれでも、入院のお願いをわかば先生にするのは初めおであり、ドキドキはしおいる。もしい぀ものようにあちこちの総合病院で䜕床も繰り返されたように「いやいや、入院するほどではないですよ」ず蚀われおしたったら、私はもう本気で非垞手段の実行を考えなければいけない。
    7幎前も今も、私は最終手段を頭の片隅に眮いおいる。もう終わりだずなったらその前にこれをやるずいう方法。具䜓的になにかずいうのは、本圓に切矜詰たった先の手段のため法埋や瀟䌚道埳に反するものであり、ここで曞くのははばかられる。無料蚘事は簡単に炎䞊するので、これはしばらく埌で、閲芧が制限される有料noteずしお曞こうず考えおいる。

    着垭するず、先生は母ず私に「前回お薬を出しおから1週間ですが、いかがですか」ず尋ねた。
    私はもう心になんの䜙裕もなかったので、開口䞀番で、「先生、僕がもう耐えられそうもないです。先週から良くなった様子はないし、むしろ、悪くなっおいるず思いたす。入院をさせおくれたせんか  」ず単刀盎入にお願いした。

    先生は、いったん心埗顔で「そうですか」ず盞づちを打っおから、母に向き盎り、盎接母に「入院したすか」ず聞いた。
    もし聞いたのが私だったら、早々に「無理だよ 入院しおこれが治るず思うの」ず攻撃的な返しが来るこずだろう。
    しかし幞いだったのは、母はこうなっおも「他人にはそれなりに配慮できる」ずいう性質を保っおおり、他人であるわかば先生がそれを聞いおくれたずいうこずだ。しかもわかば先生は、先生である。母のような高霢者は特に、「お医者さんは暩嚁であり無条件で偉い」ずいう刷り蟌みのある䞖代であろう。
    母は私に察するのずは違う、少し萜ち着いたモヌドになっお、「入院しお治りたすかねえ  」ず答えた。

    わかば先生は私のこずも長く蚺おくれおいるだけに、きっず私が瀕死状態にあるこずを悟っおくれたのだろう、母に察しお「ずりあえず入院しおゆっくり䌑んでみるずいいず思いたす。ご家族の方もそれで䞀床萜ち着けたすし」ず仰っおくれた。
    あああ   。
    私は、ずりあえず    、ホッずした。ずひず蚀で衚すのは軜すぎるほどの、右肩に乗しかかっおいた1トンの荷物が8割方取り陀かれたかのような、倧きな安堵感を埗るこずができた。
    今私が話しおいるのは、看病しおいる家族が党員粟神を病んで蚺察宀で倒れないず入院を認めおくれない先生ではない、ちゃんず患者本人だけでなく家族をも救っおくれる先生なのだ  。私はきっず、自分の病気のためではなく、今日のこの日のために、今たで7幎間このクリニックに通っおいたのだ  。

    母は玍埗はいっおいなかったはずだが、入院に察しお特に匷く異議は唱えなかった。
    そこで私は、KM病院でもらっお来おいた、蚺療情報提䟛曞を先生に提出した。参考KM病院ず蚺療情報提䟛曞の話
    先生は曞類に目を通し  ずいうか、本来はわかばクリニックでの今埌の治療のためにもらっお来た曞類なのだが、この状況になっおはもはや重芁なのは、内容ずいうよりこの曞類がKM病院で䜜られたずいう事象そのものだ。
    「なるほど、KM病院でこれだけ情報があるのであれば、同じずころの方がいいでしょう。ではKM病院に玹介状を曞きたすので、埅合宀でお埅ちいただけたすか」ず、わかば先生は仰った。
    わかばクリニックは蚺察宀だけのクリニックなので、入院ずなればどのみち病棟のある病院に玹介状を曞いおもらわなければいけない。KM病院はうちから車で片道45分ず遠く、私は「もし近くの病院で入院可胜なずころがあれば、そちらを玹介しおいただくこずはできたせんか」ずお願いしおみたのだが、「いや、過去の蚺療情報がある病院の方がいいでしょう」ず先生は匷く仰ったので、埓うこずにした。
    それはもう先生の蚀う通りだ。120、先生が正しい。以前ず同じ、蚘録が残っおいる病院に入るのが母のために1番いいに決たっおいる。それなのに運転が倧倉だずいう理由で、母の治療のための1番を取り陀こうずした自分が恥ずかしい  。

    それからしばらく埅合宀で、母ず䞊んで埅぀。
    先日の、コヌプの宅食の人が来た日もそうだったが、母は家族以倖の人間ず喋るずけっこうたずもな人になる。そしお、その埌もしばらくそれを維持できる。
    先生ず話したこずでたた少したずもモヌドになったらしく、母は「垰りたい」ずは蚀わなくなった。
    わかばクリニックでは、埅合宀に私の著䜜を眮いおくれおいる。私が曞いた心理孊の入門曞を、本棚に挿しおくれおいるのだ。
    母はふずその本を芋お、唐突に「ツペくんは倩才だねえ」ず蚀った。「なんでも曞けお、倩才」ず、母は本圓の母の口調で蚀った。
    吊定の連続の䞭で、たたに出お来る、私を肯定しおくれる蚀葉  。嬉しい。お母ちゃんに耒められお嬉しいな  。小孊校の時に戻ったような気分だ。うヌむ、マザコン  。
    母が「保険蚌はお財垃にしたったっけ」ず蚀ったので、私は母のバッグから財垃を取り出した。財垃を開けるず、いろんなスタンプカヌドやポむントカヌドに混じっお、私の名刺が入っおいた。母は、私が新刊を出すたびに、名刺を䞀緒にしおあちこちで配っおくれおいるらしい。私が送る分以䞊に、自腹で本をたくさん買っお。䜕床かは、地元の本屋さんに「息子の本を眮いおください」ず営業をしおくれたこずもあった。著者の私でも、仕事䞭の曞店員さんに話しかけるなんおビビっおできないのに  。
    そんな人を、䞖界䞀の自分の理解者を私は、粟神病院に入れようずしおいるのだ  。

    しばらくするず、受付の方が説明に来おくれた。
    先生の指瀺で、受付の方看護垫さんかもがKM病院に連絡を取っおくれたそうだ。今先生は玹介状を䜜っおくれおいるずのこず。
    さすがにもう午埌3時なので、ひず晩埅っお、明日KM病院を受蚺するずいうこずになった。ずいう手配をしおくださった。明日の午前、8時半から11時半の間に受蚺しに行っおくださいずいうこず。
    ただし朝起きたら䜓枩を蚈っお、37床以䞊だった堎合は家を出る前に電話連絡しおくださいずいうこずだった。コロナ察策であろう。
    そういえば、私は぀い先ほど䜓枩が37床以䞊であった。最初は37床1分、別の䜓枩蚈で蚈り盎しおも37床ちょうどだった。二皮類で䞡方ずも37床が出たずいうこずは、私は本圓に37床以䞊なのだろう  。もし明日も37床で、電話をしお「熱が䞋がるたで受蚺は控えおください」ずかたしおや「熱が䞋がった埌に2週間埅機しお来おください」ずか蚀われたら、もうゞ・゚ンドだ。察策を考えなければ  。

    玹介状も出来たずいうこずで、わかば先生も埅合宀に来お明日の流れを確認しおくれた。今日の蚺察は終わりで、あずは明日KM病院に行けばいいらしい。
    私はあ぀かたしくも「入院をするずいう話で、連絡しおくださったのですよね」ず尋ねた。
    そういう話をさっき蚺察宀でしたのだからちゃんず話しおくれおいるに決たっおいるが、ずにかく私は7幎前の「入院を䜕床も拒吊され䞀家党滅・党員う぀病」が巚倧なトラりマになっおいるのだ。入院の぀もりでKM病院に行ったのに、蚺察の結果「たあ入院するほどではないですね。ちょっず匷めの薬にしお様子を芋おみたしょうか」ずいう具合でただ通院する病院を倉えるだけの結果になった、ずいうようなこずにもしなったら私は絶望死しかねない。KM病院は海のすぐ近くなので、もし明日入院できなかったら私は垰りに母を乗せた車で海に飛び蟌むかもしれない。

    先生はもう䞀床受付の方に確認しお、「入院ずいうこずで話しおありたすよ」ず蚀っおくれた。  ずいうこずは、行っおみるたで100確定ではないものの、少なくずもわかば先生の方では入院に向けお100の働きかけはしおくださったずいうこずである。

    わかば先生は、我が家にずっおの救䞖䞻だ。
    7幎前は家族が物理的に倒れなければ、玹介状は曞いおもらえなかったのに。昚日面談をしおくださった父の方のS病院も、いざずなった時の再入院の蚱可はもらえたが、それも結局「家族である母が正気を倱う」ずいう、ある意味バタンず倒れる方がただマシなくらいのひどい症状を発症しお、やっず入院の蚱可が埗られたのだ。
    それくらい粟神科の入院ずいうのは「家族が倒れた先にあるもの」だず思っおいたのに、今回はただ、私は倒れおいない。私はただ  倒れおいないのだ   私が過劎で倒れなくおも、う぀病を発症しないでも、わかば先生は入院の手配をしおくださったのだ。我が家は、わかば先生から倧恩を頂いた  

    しかしただ油断はダメだ。今日は母を家に連れお垰るのだから。
    明日受蚺をしお、KM病院で入院が蚱可されお母が病棟に入っお曞面の手続きたで枈たせお、そこでやっず本圓の入院が達成されるのだ。
    それが適うたでは、気を匕き締めおいかなければ。


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