情報漏えいの株は「2つ目の波」で崩れ始めた。夜の取引の−17%は、たった200株だった。来週は、日米の中央銀行とAIの決算が同じ週に来る
見出しより、計器を見ろ。シオメーターです。
今日(10月23日・金曜)の引け後に出た決算と、今週のニュースをもとに、週明け(10月26日〜)の展望を書きます。
今回から、読みやすさを優先して、各節を「結論の見出し → 3つの事実 → 2行の説明」の順にそろえました。
目次
今週の終わり方
引け後の決算
夜の取引(PTS)
情報漏えいの株
海図を広げる:夜の取引のランキングは、どこまで信じていいか
来週の予定
まとめと、月曜の朝に見るもの
■1. 今週の終わり方
半導体は昼に戻り、銀行は戻らなかった
・日経平均:62,693円(−214円、−0.34%)。朝は一時1,400円を超える下げでした
・TOPIX:3,965(−0.79%)。グロース250:754.60(+0.18%)
・業種:不動産と小売が上げ、銀行がいちばん下げました。日本の10年債利回りは一時2.8%を下回っています
日経平均の下げは小さく見えますが、TOPIXは日経平均の2倍以上下げています。
指数を支えたのは、昼に戻った半導体の大型株と、ファーストリテイリングでした。
■2. 引け後の決算
AIの「周り」の会社から、上方修正が続いた
・ファナック:今期の経常利益の予想を2,712億円→3,088億円に引き上げ(+13.9%)。7〜9月の営業利益率は26.0%で、500億円までの自社株買いも発表しました。会社は、AIのデータセンターや半導体の需要を取り込んだと説明しています
・川崎汽船:経常利益の予想を1,350億円→1,900億円に引き上げ(+40.7%)。ばら積み船とコンテナ船の市況が、想定を上回りました
・野村マイクロ・サイエンス:上期の経常利益を26.5億円の黒字→1.4億円の赤字に下方修正しました。米国の大型の水処理案件が下期にずれ込み、韓国の案件で原価が上がったためです
ファナックは、ロボットや工作機械の会社です。半導体の会社ではありません。それでも、引き上げの理由の先頭に「AIのデータセンター」が来ています。
一方で、同じAIの工場向けでも、野村マイクロのように「案件の時期」で数字が大きく揺れる会社もあります。上方修正は、ほかにも中小型の部品の会社から2社出ました。この2社は、有料パートで比べます。
■3. 夜の取引(PTS)
決算の良かった株は、夜にもう買われている
・ファナック:5,940円(東証の終値より+6.3%)
・川崎汽船:3,450円(+3.7%)
・野村マイクロ:2,675円(−7.5%)
(いずれも株探の、ジャパンネクスト証券のPTSの17時30分時点の値です)
夜の取引で上がった株を、月曜の朝に成行で買うと、夜の値段より高く買うことになりやすいです。理由は、次の「海図を広げる」で書きます。
■4. 情報漏えいの株
漏えいは増えている。でも、株は先に崩れ始めた
・上場企業とその子会社で、100万件を超える個人情報の漏えいは、10月5日の時点で今年10件と報じられています。2025年は1年間で6件でした。10月15日には、ソースネクストが最大2,251万件の流出の可能性を発表しています
・情報セキュリティの小型株は、2つの波で上がりました。1つ目の波の高値は10月8日〜14日、2つ目の波は10月21日〜23日です
・今日(10月23日)は、1つ目の波で上がった株が軒並み大きく下げました。ストップ高になったのは、出来高の少ない、遅れて上がり始めた株でした
9月26日の終値から、今日の終値までの動きです。
・ショーケース:+310%(今日−8.2%)
・セキュアヴェイル:+264%(今日+0.3%。ただし場中の高値1,377円から、終値は1,103円まで押し戻されました)
・ブロードバンドセキュリティ:+103%(今日−9.3%。高値は10月13日)
・サイバーセキュリティクラウド:+76%(今日−10.7%。高値は10月13日)
・ZenmuTech:+37%(今日−11.8%。高値は10月8日)
・トレンドマイクロ:+11%(今日−0.7%)
・FFRIセキュリティ:+5%(今日−7.0%)
漏えいが増えているのは事実です。でも、大きく上がったのは売上の小さい会社で、セキュリティで大きな売上を持つトレンドマイクロは+11%でした。
「漏えいが増える」というニュースと、「その株が上がり続ける」ことは、別の話です。来週の見方は、有料パートで書きます。
■5. 海図を広げる:夜の取引のランキングは、どこまで信じていいか
「夜の−17%」は、たった200株だった
・今夜のPTSで、値下がり率の1位はAGC(−17.4%、4,500円)でした
・でも、AGCには今日、ニュースも決算も出ていません。決算の予定は11月5日です
・17時台に成立したのは合計200株、金額で約99万円でした。17時58分の値段は5,384円で、東証の終値5,447円から−1.2%まで戻っています
①PTSとは
・東証が閉まったあとも、証券会社の私設の取引所(PTS)で、株を売り買いできます。株探が載せているのは、ジャパンネクスト証券のPTSの値段です
・東証より参加する人がずっと少ないので、少ない株数でも値段が大きく動きます
②なぜ「200株で−17%」が起きるのか
・説明のための仮の例です。夜に「買いたい人」が4,500円に100株しかいないとします
・そこへ、急ぎの人が「いくらでもいいから売る(成行)」と200株を出すと、4,500円まで下がって成立します。ランキングには、この値段が載ります
・ニュースがなくても、薄い時間に成行の注文が1つ来るだけで、ランキングの1位は作れます
③計器にする
・PTSのランキングを見たら、まず「出来高(何株成立したか)」と「売買代金」を見ます。数百株、数百万円以下なら、その値段は「誰かの注文の跡」と見て、相場の答えとは扱いません
・ファナック(+6.3%)のように、決算というはっきりした理由があり、十分な株数が成立しているときだけ、月曜の朝の目安にします
・それでも、月曜の朝は、夜の値段から始まるとは限りません。夜に上がった株は、東証の寄り付きで「夜の値段より上」から始まり、そこから下げることもよくあります。夜に上がった株は、9時に成行で買わず、10時の向きを見てから考えます
■6. 来週の予定
米国のAIの決算と、日米の中央銀行が同じ週に来る
・10月27〜28日:米国の中央銀行(FOMC)。10月29〜30日:日銀の会合。どちらも、10月は金利を据え置くという見方が多いと報じられています
・10月28日:マイクロソフト、アルファベット、アドバンテスト、日立、NEC。10月29日:アマゾン、インテル、イビデン、キーエンス。10月30日:東京エレクトロン、キオクシア、村田製作所、レーザーテック、SCREEN
・11月3日:米国の中間選挙
今週の東京を下げたのは、「AIへの投資に、お金が続くのか」という心配でした。きっかけは、米国のAIクラウドの会社コアウィーブの社債が急に売られたことと、メタの決算後の急落です。
来週のマイクロソフト、アルファベット、アマゾンの決算は、その「お金を出す側」の答えです。設備投資の計画が増えるか減るかで、東京の半導体の向きが決まりやすいと見ています。
■7. まとめと、月曜の朝に見るもの
・今週の終わり方:半導体は昼に戻り、銀行と情報漏えいの株は戻りませんでした
・引け後の決算:AIの「周り」の会社(ロボット、部品)から上方修正が続きました。ただし、夜に上がった株を9時に追いかけないこと
・情報漏えい:漏えいは増えていても、株は「2つ目の波」で崩れ始めています
・夜の取引:ランキングは、まず出来高を見ます。AGCの−17%は200株でした
・来週:28日と29日の米国の大手IT企業の決算が、いちばん大きな山です
月曜の朝に見るもの
・9時〜10時の、SKハイニックス(韓国)の寄り付きからの向き。今週の22日と23日は、ナスダックの先物より、こちらのほうが東京の半導体の昼の向きと合っていました
・ちなみに今夜8時半の時点で、CME(米国)の日経平均先物は62,360円、東証の終値より約330円下です。今夜の米国の動きで、ここから変わります
この先に書いているのは
・引け後に上方修正した中小型の部品の会社2社の比較。PERが安く見える会社と、本当に安い会社
・その中から、週明けに筆者が見ている1銘柄。網を置く値段と、撤退の線
・情報漏えいの株の「波が終わるとき」の3つのサイン。次に買っていいのは、どんな日か
・来週の東京を決める3つの道筋
・筆者の持ち株の、来週の予定