
おかげさまOKAGESAMAとは?見えない支えに気づく日本の心|日本の心と言葉No.8
おかげさま(OKAGESAMA)とは?見えない支えに気づく日本の心
「おかげさまで元気です。」
日本では日常的に使われる言葉ですが、改めて考えると不思議な表現です。
なぜ私たちは、「ありがとう」ではなく「おかげさま」というのでしょうか。
この言葉の由来には、仏教の考え方があるといわれています。
暑い日に大きな木の陰に入ると、強い日差しから守られます。
雨の日には、雨をしのぐこともできます。
その木は何も言いません。
自分を守ってくれていることを、普段は意識することもありません。
けれど確かに、その存在によって私たちは支えられています。
仏教では、このような「直接は見えないけれど、自分を包み、守り、支えてくれる力」を「陰(かげ)」と呼びました。
そして敬意を込めて「お」を付けたものが、「おかげさま」の始まりだといわれています。

私はこの話を知ったとき、とても温かい言葉だと思いました。
私たちはつい、自分の努力だけで生きているような気持ちになることがあります。
仕事を頑張った。
勉強を頑張った。
家事や育児を頑張った。
もちろん、その努力は素晴らしいものです。
けれど少し立ち止まって考えてみると、その背後にはたくさんの支えがあります。
家族。
友人。
先生。
同僚。
食べ物を作ってくれる人。
電気や水を届けてくれる人。
道路を整備してくれる人。
そして自然の恵み。
私たちは数え切れないほど多くの存在に支えられながら生きています。
だから「おかげさま」には、
「私一人の力ではありません」
という謙虚さと感謝が込められているのです。

若い頃の私は、感謝とは何か特別な出来事に対してするものだと思っていました。
けれど歳を重ねるにつれ、感謝とはもっと日常の中にあるものだと感じるようになりました。
朝、目が覚めること。
家族と話せること。
温かい食事を食べられること。
安心して眠れる場所があること。
それらは当たり前のようでいて、決して当たり前ではありません。
禅が「今、この瞬間」に気づくことだとすれば、
小確幸が「小さな幸せ」を見つけることだとすれば、
一期一会が「出会いを大切にすること」だとすれば、
おかげさまは「見えない支えに気づくこと」なのかもしれません。
私たちは一人で生きているように見えて、本当はたくさんの人や自然、そして目には見えない縁に支えられながら生きています。
そのことに気づくだけで、世界は少し優しく見えてきます。
今日、あなたの「おかげさま」は何でしょうか。
普段は当たり前すぎて気づかないけれど、あなたを支えてくれている人や存在はありませんか?
もし思い浮かぶものがあったら、少しだけ立ち止まって感謝してみてください。
その瞬間、あなたの世界は今より少し温かくなるかもしれません。
🔜次回予告
次回は、間 MA とは?余白が生み出す豊かさ