天子と天皇と皇帝
日本で718年に制定された養老令の第十八である儀制令の第一条は天子条で、祭祀では天子と称し、詔書では天皇と称し、華夷に(国内外に対して)は皇帝と称することとなっています。実際は同じ人が兼任しているものの、祭祀を行う者、国を治める長、国の代表の立場は異なるとの考えです。
中国の思想では、天子とは、超常的存在である天帝が定めた、天下を統治する者を指します。天子の地位は特定の家系によって世襲され、その家系が王朝を形成します。
中国の天帝は人に対し細かく天命を与えます。ある王朝の天子が徳を失ったならば、天命が革(あらた)まる、すなわち革命が起き、新しい王朝に替わるとされています。日本ではこのような革命が今まで起きていないため、万世一系の皇統だといわれてます。
皇位継承問題では、天皇の継承が問題となっていますが、天子の継承については触れられていません。天子と天皇は同一人物だから当たり前だ、とも言えますが、人が天皇を決めることはできても、天子は人の都合で決めることができない、という大きな違いがあります。
日本の天子を決めるのは日本の神です。中国の天帝と日本の神は異なります。日本の神は、中国の天帝よりずっと放任主義ですが、だからといって人が何をやっても全て看過するわけではありません。
人が王朝の簒奪を行う、すなわち天子兼天皇になるべき人を勝手に変える革命を起こしたとしても、日本の神がその革命を必ずしも認める必要はありません。天子は今まで通りの王朝で、天皇は革命により違う王朝へ。このような可能性も存在します。