
3Dプリントのサポート材をきれいに剥がすためのコツ
3Dプリンターを動かし始めてからしばらく経つと、出力物の形状そのものよりも「後処理」の仕上がりが気になり始めます。設計データが完璧でも、サポート材を剥がした後の表面がガタついていると、どうしても全体がチープに見えてしまうものです。最近はスライサーの設定でサポートの付き方を調整できるようになりましたが、最終的には手作業による追い込みが欠かせません。
ここで多くの人が立ち止まるのが、やすり掛けの手法です。「ドライで削るか、ウェット(水研ぎ)で削るか」という二択について、僕も当初はかなり悩みました。どちらも一長一短ですが、実際に数百時間の造形を経験する中で、自分なりの使い分けが見えてきました。

ドライ研磨の最大の利点は、手軽さです。思い立ったときにすぐ作業に取り掛かれ、削りカスを飛ばしながら目視で形状を確認できます。ただ、欠点は粉塵が舞うことです。PLAやPETGの削りカスは非常に細かく、吸い込むと喉への負担が大きいため、僕は防塵マスクを着用して換気を徹底しています。もし、複雑な形状の細部をサッと整えたいなら、まずはドライ研磨で全体のアタリを付けるのが効率的です。
一方で、水研ぎにはドライにはないメリットがあります。水が潤滑剤となって摩擦熱を抑えてくれるため、出力物が溶けてダマになるリスクが激減します。特に、低融点のフィラメントを使う場合には必須の手法です。粉塵が水に混ざるため、部屋を汚さず、仕上がりの面精度も格段に滑らかになります。ただし、乾燥させる時間が余分に必要になる点や、内部に水が染み込みやすい中空構造のパーツには使えないという弱点があります。
僕が失敗した事例を挙げると、以前、中空構造のフィギュアを水研ぎした際、隙間から水が入り込み、後から内部でカビが発生してしまったことがあります。それ以来、完全な密閉構造でない限りは、水研ぎを避けるか、十分に時間をかけて乾燥させるというルールを自分に課しています。

結局のところ、どちらを選ぶべきかは「出力物の用途」で決めるのが賢明です。塗装を前提とした展示用のモデルなら、時間をかけてでも水研ぎで極限まで滑らかに仕上げる価値があります。逆に、実用的なツールや試作品であれば、ドライ研磨で大まかなバリさえ取れれば十分です。
最近は、やすりの番手を一度に飛ばしすぎないことにも気を使っています。例えば、最初から800番で磨いても削り跡はなかなか消えません。僕の場合は、240番で大きなサポート跡を削り落としてから、400番、600番と順番にステップを踏むようにしています。この「番手を飛ばさない」という手間を惜しまないだけで、後々の塗装の乗りが劇的に変わります。
もし作業環境が整わず、粉塵が気になるのであれば、まずは耐水ペーパーを用意して、水研ぎから試してみてください。案外、ドライ研磨よりも仕上がりの美しさに驚くはずです。