
3Dプリンターで寸法精度が出ない時に見直すべきフローレートと収縮率
3Dプリンターを触り始めてしばらく経つと、見た目は綺麗に印刷できているのに、いざパーツを組み合わせてみると「全然ハマらない」という壁にぶつかります。ネジ穴が小さすぎたり、はめ込みパーツに隙間ができすぎたり。
以前、どうしても嵌合(かんごう)パーツが噛み合わず、設計寸法と実測値のズレに頭を抱えたことがありました。当時はスライサーの設定項目を片っ端から触っては出力し直すという、今思えば非効率の極みとも言えるループに陥っていたんです。

あの時、一番の失敗要因は「一度に複数の設定をいじったこと」でした。フローレートを0.95から変えて、ついでに収縮率も微調整して出力する。これだと、どの変更がプラスに働き、どれが悪影響を与えたのかが全く分からなくなるんです。
結局、基礎となるフローレートの追い込みからやり直すことにしました。まずは「20mmの立方体」をプリントして、ノギスで各辺を測定します。僕の環境では、初期設定から少しだけ数値を下げることで、積層の膨らみが抑えられ、寸法が安定し始めました。
具体的な手順として、フローレートの調整は0.01刻みで変化させます。いきなり0.05単位で変えると、外観のクオリティに悪影響が出やすいからです。理想は、壁の厚みが設計値に対して±0.05mm以内に収まる状態です。
次に収縮率の調整ですが、これはフィラメントの種類にかなり依存します。PLAであれば100%からスタートしますが、ABSやPETGの場合は樹脂の収縮が大きいため、100.5%から101%程度に拡大して設定することも珍しくありません。

ここで大切な判断基準は「何に対して精度を求めるか」です。外径を合わせるのか、穴径を合わせるのか。両方を完璧に一致させるのは難しいため、僕は「外形はフローレートで調整し、穴径はオフセット設定で補正する」というやり方に落ち着きました。
注意点として、キャリブレーションに使ったフィラメントと、本番で使うフィラメントのメーカーや色が違う場合は要注意です。同じPLA素材でも、メーカーが異なれば推奨温度や収縮率は微妙に変化します。
信頼できるメーカーのフィラメントを使い続けることも、精度を追い込むための近道です。僕は安すぎる粗悪品を避けるようにしていますが、これは単純な性能差だけでなく、ロットごとの品質の安定性を重視しているからです。
寸法が出ない時こそ、一度落ち着いて、一つの数値だけを変えてプリントする。この地味な積み重ねだけが、思い通りのパーツを形にする唯一の方法ではないでしょうか。