
主訴の奥を、CLと一緒に考える
キャリアコンサルタント養成講座のロープレ実習で、問題を把握することの難しさと大切さをあらためて感じました。
今日の実習では、講師がCC(キャリアコンサルタント)役、受講生がCL(相談者)役となって面談を進めました。
講師は、CLの来談目的を出発点に話を聴き、主訴をいったん仮置きしながら、さらにCLの気持ちや受け止め方を確かめていました。その過程で、主訴の背景にある葛藤や不安が少しずつ見えてくる様子が印象に残りました。
そこで示されたのが、「自己概念の不一致」という視点です。
自分はこうありたい、こうあるべきだと思っている姿と、実際に経験している自分との間にずれがあるとき、葛藤や不安につながることがあります。ロジャーズの考え方でも、自己概念と経験との不一致は、不安や脆弱さと関連づけられています。
ただし、面談では「主訴の根本には、きっと自己概念の不一致がある」と決めつけないことが大切だと思います。相談者の悩みには、職場環境や人間関係、経済的な事情など、さまざまな背景があり得ます。自己概念の不一致は、CLの話を聴く中で考えられる可能性の一つです。
また、CCが問題を把握したつもりでも、それがCCだけの見立てで終わってしまっては意味がありません。CLの言葉や反応を確かめながら、問題の捉え方を一緒に整理していく必要があります。厚生労働省の資料でも、問題把握では相談者とキャリアコンサルタントが問題を共有し、明確にしていくことが示されています。
「What」をもっと丁寧に聴く
私は普段、問題を「Why・What・How」の三段階で捉えるようにしています。
* Why:なぜ、その悩みが生じているのか
* What:CLは何を問題だと感じているのか
* How:これからどうしていくのか
ロープレを振り返ると、私は「What」の部分を十分に深められていないと感じます。状況を確認したり、解決策を考えたりすることに意識が向き、CLが何を問題だと感じているのか、その出来事をどう受け止めているのかを聴ききれていないのかもしれません。
たとえば、仕事で失敗して「悔しい」と話すCLがいたとします。その悔しさの背景には、「期待に応えたかった」「自分の力を発揮したかった」という思いがあるかもしれません。
けれども、その思いだけで「自己概念の不一致がある」と判断することはできません。大切なのは、CLにとってその出来事や感情がどんな意味を持っているのかを確かめることです。
「何が悔しかったのですか」
「その出来事を、どのように受け止めていますか」
「期待に応えられなかったことは、ご自身にとってどんな意味がありますか」
こうした問いを通して、CLの気持ちや考えを丁寧に聴いていく。そこで見えてきたことを、CLと一緒に確かめていく。その積み重ねが、主訴の理解や問題の共有につながるのだと思います。
深く聴くことを急がない
CLによって、話せることや自己理解の進み方は違います。深く聴くこと自体を目標にするのではなく、CLの反応を見ながら、無理のないペースで進めることも欠かせません。
「海面に見えている悩みの下に、何かがあるかもしれない」と考えることは、CLを理解する助けになります。一方で、CCが「本当の問題」を探し当てようとしすぎると、CLの語りから離れてしまうこともあります。
まずはCLの気持ちに焦点を当て、何を問題と感じているのかを一緒に確かめる。自己概念との不一致が関係しているかどうかも、CLの語りの中から仮説として考え、確かめていく。
今回の実習を通して、問題を把握するとは、CCが答えを見つけることではなく、CLと一緒に問題の輪郭をつかんでいくことなのだと感じました。
まだまだ学びがあります。次のロープレでは、状況を確認するだけでなく、その出来事をCLがどう感じ、どんな意味を見いだしているのかを、もう少し丁寧に聴いてみたいと思います。
現状維持は即衰退