
メダカの王子とふしぎなビー玉
むかしむかし、ある池の底に、メダカたちの小さな国がありました。
水草にかこまれたお城には、一匹のメダカの王子さまが暮らしていました。
ある日のこと。
王子さまがお城を抜け出して、こっそりと散歩していると、水草の根もとに、きらりと光るものを見つけました。
「なんだろう?」
近づいてみると、それはまんまるなビー玉でした。
王子さまがそっとのぞきこんでみると、まぁびっくり。
ビー玉の中には、見たこともない景色が広がっていました。
どこまでも続く青い空。
風に揺れる緑の草原。
そこには、太陽みたいな黄色い花が、一面に咲いていました。
「おひさまが、いっぱい咲いてる」
王子さまは、いつまでもビー玉を見つめていました。
次の日も、その次の日も、王子さまはビー玉をのぞきにいきました。
ある日のこと、ビー玉の中には紺色の世界が広がっていました。
暗い草むらの中を、小さな光がふわり、ふわり。
消えたかと思うと、また少し離れたところで光ります。
「お星さまが、飛んでいるのかな」
見るたびに、王子さまの知らない世界が映ります。
「いいなあ。ぼくも、いつか外の世界へ行ってみたいなあ」
いつしか王子さまは、お城にいても外の世界のことばかり考えるようになりました。
そんなある晩のこと。
いつものようにビー玉をのぞくと、そこには見たことのないほど美しい景色が映っていました。
月の光がゆらゆらと差しこみ、水草の間を小さな魚たちが泳いでいます。
水の中には、星のような光がきらきらと揺れていました。
「わあ……。ここは、どこだろう」
王子さまは夢中でビー玉をのぞきこみました。
すると、一匹の小さな魚が横切りました。
「あれ?」
王子さまは顔を上げました。
目の前を、さっきビー玉の中にいた魚が泳いでいます。
水面にはまあるい月。
ゆらゆら揺れる水草。
「あっ、ぼくの池だ!」
王子さまは、しばらくその景色を眺めていました。
ずっと暮らしていたはずなのに、はじめて見る場所のようでした。
それからも王子さまは、ときどきビー玉をのぞきました。
まだ知らない世界を見つけては、胸をわくわくさせます。
そして、ときどき顔を上げました。
「またね」
今日も王子さまはビー玉にヒレを振って、
満足そうにお城へ帰っていきましたとさ。
(911文字)
記念になるかなと、わたしも書いてみました。めだかの王子、スイスイ〜。
いよいよ最終日、8月8日23:59 で締め切ります☺️
たくさん作品のご提供をありがとうございます。
娘が朗読してくれました。わ〜いっ。