
【CP+】 AIが凄くなればなるほど際立つ、本のプリミティブな魅力
CP+という写真とカメラのイベントに行った。
その一角で行われているZINES FAIRというコーナーでは、出展クリエイターたちが各々のブースを連ね、自主制作の本やポストカードなどアナログなグッズを販売する。
自分は普段webサイトのデザイナーだから、アナログとは一定の距離をとって過ごしているけど、ここに来て忘れかけていた何かを思い出した気がした。
それは非合理的で不要不急のものを作ること。

十人十色のクリエイターたちが、自分の考えていること、見ている世界、撮った写真、行った場所・・・自分の内面を心ゆくまで表出させている。
それを買うのは来場者だけでなく、クリエイター同士がお互いの作品を買い合うこともある。内容に共感しリスペクトできる人からは作品を買い、お金という形で相手を承認する。
双方がアイドルでありファンでもある世界の、インタラクティブな推し活だ。
人間が時間と労力をかけるべきもの
最近のAIの進歩の速さには、恐れ慄き舌を巻くばかりである。AI革命の未曾有のビッグウェーブが押し寄せ、ほんの数年前まで旬だったDXがもう古くて、紙媒体なんてのはほんとうに前時代的で不要不急の最たるものになってしまった。
でもZINES FAIRに出している作家たちは、そんなこと意に介さない。
世間はAIで仕事の高速化や無駄の省略にいそしむけど、かたやZINEはそんなスピードや合理性の対をなす概念だ。時間をかけて作って、紙とインクで定着させて、現地に持っていく。
これだけの労力をかけて求められてもいないものを作り、売る。
そこまでして伝えたいことがある。
そんな作品を買う人がいる。
彼らの精神世界は、カタカタと打ってSNSに投げれば済むものじゃない。
ChatGPTの高速文字生成は、紙の上では踊らない。
ZINES FAIR会場はコスパタイパの理論が及ばない聖域である。
AIにできないことは何か。シンプルな答えは、人間の体と脳を持つこと。
どこかに足を運び、何かに触れ、それぞれの感性で思いを巡らすこと。
そこで得た感情を人間同士で共有すること。
そういう営みは代替のしようがない。
ZINES FAIRは、イオンができても潰れずにお客が集まる八百屋のように、細々とでいいからずっと続いて欲しいイベントだと思う。
