
声のない女子会
私は障害者枠で働いていまして、
同じ部署にはさまざまな障害のある社員が働いています。
お昼休みが終わって、席に戻ったら、肩をトントンされました。
振り返ると、吃音のある同僚でした。
手には電子パッド。
画面には、こう書いてあります。
「都合の合うお昼休みに、4人で話しをしませんか?」
私を含めた4人は、いつも近くの席に座っている、同世代の同僚です。
なぜこの4人なのだろうと考えて、すぐに分かりました。
聴覚障害、吃音、場面緘黙、そして発達障害の私。
個性はバラバラだけど、共通点があります。
声を出して話すのが苦手。
電子パッドは、私の部署ではよく使われています。
上司との会話、先輩への質問もこれ頼みです。
他の3人も、同じように使っています。
これを使って、話すのが苦手な女性4人で、女子会をするという提案です。
私は声を出して話すのが苦手でもあり、見知りでもあります。
なので4人で話すのは、少し不安でした。
でも、女子会が始まると、吃音のある彼女が、
上手に場を回してくれました。
話題は、聴覚障害の同僚が最近結婚した話に。
座っていた椅子を寄せ合い、スマホの中の結婚式の写真を、
4つの頭がくっつくようにしてのぞきこみます。
ウェディングドレス姿の同僚は、とても可愛らしい。
それを見た3人は電子パッドに「可愛い」とか書いて見せる。
文字を書くのは声を出すより時間がかかります、
でも慌てたり焦る人は誰もいません。
途中から手話の話になり、「ハネムーン」の手話を教えてもらいました。
どこか可愛いその手話を、3人は少し照れながら真似をする。
みんな無言で、そして笑顔でした。
最後は、電子ボードではなく、
4人全員が知っている「ありがとう」の手話で、締めくくりました。
私が書いた言葉は、片手で数えられるくらいしかありませんでした。
それでも、私にとっては、新鮮な時間でした。
4人は普段から一緒に働いていて、毎日顔を合わせています。
なのに、こんなふうに笑い合いながら向き合ったのは、
この日が初めてでした。
会社で女子会なんて、自分には縁のないものだと思っていました。
だからこの日の出来事は、とても新鮮でした。
「声で話せないなら、別の方法で話す」
それを考えてくれたのは、4人の中でいちばん話すのが得意な人でした。
私自身も、これから誰かと向き合うとき、
「どうすればこの人は話しやすいだろう」と考えられる人でありたいと思います。

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