
2027年度障害福祉報酬改定、訪問サービスはどう変わる?4つの論点:第63回検討チームの議論を徹底解説
同行援護の資格、集合住宅への訪問、ピアサポートを第63回検討チーム資料から読む

2026年9月24日の第63回検討チームで、訪問系サービスの報酬をめぐる複数の提案が出ました。見出しだけを追うと「訪問系の引き下げ」でまとまりがちですが、資料の芯にあるのは、介護保険から借りた同一建物等減算をどこまで広げるかという線引きです。
居宅介護では減算対象が9割を超える事業所が67.8%に達し、経営概況調査は集中訪問ほど採算が取りやすい傾向を示しました。
では、平均260時間を支える重度訪問介護に同じ物差しが当てはまるのか。同行援護の資格経過措置やピアサポートの評価も含め、どの数字を自法人で確かめ、どの会議でいつ問うべきかを分けて読み解きます。

どーも、セオドアアカデミーです。
令和8年4月時点で、居宅介護の同一建物等減算を算定している事業所は全国で1,411ありました。そのうち、減算の対象になる利用者が事業所の利用者全体の9割以上を占めているところが957。割合にすると67.8%です。
同一建物等減算を算定する事業所の3分の2が、ほとんど減算対象の利用者だけを抱えている。同じ建物に住む人へまとめて訪問することを前提に組み上がった事業所が、それだけ存在しているということになります。
2026年9月24日に開かれた第63回障害福祉報酬改定検討チームは、この形をどう評価し直すかを訪問系サービスの中心に据えました。資料を読むと、見えてくる問いは一つです。介護保険の訪問介護から借りてきた同一建物等減算という仕組みを、障害福祉の訪問系にどこまで広げるのか。そして「近くにまとまっている=効率的」という物差しが、サービスの性格が違っても同じように成り立つのか。
先に断っておくと、今回の資料にある「検討してはどうか」は、減算率や加算額まで決まったことを意味しません。
以下は、令和9年度改定に向けた検討段階の提案を、現行制度と分けて読み解いたものです。
同じ建物にまとめて訪問する、という形が67.8%
居宅介護の同一建物等減算には、いまの障害福祉にもすでに線引きがあります。事業所と同一敷地内または隣接敷地内の建物に住む人へのサービスは10%減算。同一・隣接敷地内で、その建物に月50人以上が住む場合は15%減算。それ以外の建物でも、同じ建物の利用者が月20人以上いれば10%減算の対象です。この仕組みは、介護報酬の訪問介護における同一建物減算を参考に、平成30年度の障害福祉報酬改定で設けられました。
厚生労働省が今回着目したのは、この20人という人数要件を下回る小さな住宅に利用者を集め、そこへ居宅介護を提供する形です。資料には、戸建てに3人から5人の定員で入居者を募る例、特定のアパートに10人程度を募り、障害福祉サービスの活用をホームページで案内する例が挙げられています。
数字も動いています。10%減算の算定率は、令和6年4月の5.38%から令和8年4月には6.07%へ。15%減算は0.04%から0.10%へ。緩やかですが、集中訪問という提供形態は広がってきました。冒頭の67.8%は、その広がりの中身を映しています。
採算の面でも材料が出ました。令和7年の障害福祉サービス等経営概況調査(任意集計)では、同一建物の集合住宅への訪問が占める割合が高い事業所ほど、収支差率が高い傾向がみられました。ここは慎重に扱う必要があります。厚労省自身が、集計対象の事業所数が少なく個々のデータの影響が大きいとして、参考値として公表しているからです。数字を鵜呑みにはできません。それでも、方向としては「同じ建物へまとめて訪問できれば採算が取りやすい」を示しています。同一建物減算は、その効率を報酬に反映するという発想で組まれています。
一方で、建物が同じだから支援が簡単になるとは限りません。障害特性も、支援に要する時間も、緊急時の対応も、夜間の体制も、利用者ごとに違います。論点は、集中による効率をどう測り、必要な支援まで縮めない減算要件をどう設計するかにあります。効率だけを削るのか、それとも必要な訪問まで細らせるのか。設計次第で結果は分かれます。
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