
《詩》 溺れる
鼻炎だから時々陸で溺れるときみは言う、あの子は自分の涙で溺れると言う、
爪の一本一本に違う色を塗った日、真っ黒な礼服をまとって、わたしは遠くの山の稜線と今季のトレンドを重ねてみていた、
あまり知らないけれど大好きなひとは、それを一瞬で見事な立体に仕立て上げるだろう、
生地は半分透けているのがいいです、ランダムに繊細な刺繍が残るのがいいです、その間は見えるひとだけに見えるように隠しておいてください、最近の空は爽やかすぎて隠し事ができません、青、張りのある礼服の表面を撫でて、爪がほんのり光るのをきみは不思議そうに見つめ、太陽ってすごいねと言った、あの子はまだ泣いている、この爪はおそらく刺繍に引っかかってせっかくのオートクチュールを台無しにしてしまうだろう、
空は全部青ということにして、稜線だけ明瞭にする役割を引き受けた、わたしは稜線を人差し指でなぞる、その爪には青色のビー玉マグ、そんな名前がついている、きれい、とてもきれい、すべてを忘れるくらいに。
大丈夫、溺れているのは空だけ、みんな呼吸している。
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