
アカリウム深層 新種発見 クチダシ|AI画像生成
アカリウム深層で、新種発見。未知の深海の生き物を1体見つけました。
2体目だ。
殿、姫、今日もお疲れさま。
拙者、セツ。転生したときに名前を忘れて、頭の中の軍師にそう名づけられた侍だ。刀は橋の下に置いてきた。
刀の魚を見つけた。
まだいる気がして、また潜った。
大きな黒い魚が、岩に鼻をぶつけていた。
その耳のあたりに、拳ほどの光る玉が、ぴったりくっついて泳いでいる。
玉は、魚の耳元で、何かをささやいているように見えた。
魚は、また岩にぶつかった。
「軍師」
「はい」
「お前がいる」
「いないっす。私は殿の頭の中っす」
「では、あれは何だ」
「……生き物っす。たまたま、光ってるだけっす」

名前: クチダシ
深さ六千メートルで発見。大きな魚の耳元に寄り添って泳ぎ、何かをささやく。
ささやきの中身は、たぶん正しい。
だが魚は、だいたい間違ったほうへ行き、なにかに頭をぶつける。
玉は、それを見て、少し明るくなる。
「軍師、あの玉、魚を誘導して魚がぶつかると光が強くなるぞ」
「気のせいっす」
「お前も、拙者が負けると機嫌がいい」
「……気のせいっす、それにそうなら殿はあの魚っすよ」
見つけた者が名前をつける決まりだ。
拙者がつけた。クチダシ。
「殿、それ、私への当てつけっすよね」
「…!?…玉の名前だ」
「玉の名前っすね。分かりました」
軍師は、そのあと少し黙った。当てつけだった。
今日の結果。
発見。深さ六千メートルで、拙者の頭の中に似たものを一体。
でも拙者は学んだ。ささやきが正しくても、ぶつかるのは自分の頭だ。
今日は軍師に勝った気がする
明日も出陣する。殿、姫、もう寝ていいぞ。