メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byaura

青のグラデーション|風まかせ文芸部

    僕が知っていた高校時代の葵の腿の付け根には、青みを帯びた小さなタトゥーが入っていた。
    「初めてのタトゥーにしては大胆な色だ」
    僕がそういうと、葵は得意げに笑った。
    「青み系は譲れないよ」
    「俺以外のやつに見せるなよ」
    「そんなの約束できないよ」

    外では快活でよく笑うのに、僕といる時だけは、感情を剥き出しにして子どもみたいに泣く葵が好きだった。大学に入ってしばらくして、僕たちは別れた。

    ついさっき、信号待ちをしている葵を見かけた。3年ぶりに雑踏の中で見た葵は、葵以上どこにもいないオーラを放っていて釘付けになった。
    鮮やかな青のグラデーションのノースリーブのワンピース。ばっさり切った薄紫のショートカット
    が日差しに透けてふわりとなびいている。
    僕は青信号に変わるまで、あの頃の葵を思い出していた。



    #風まかせ文芸部
    #青のグラデーション
    #詩のようなもの
    #ショートストーリー
    #オールカテゴリ部門

     
     

    kanata

     
     
    hps/ 青色がすき。浮かんでくる言葉を詩に書いています。うつ病はきつかったけど、学びはあると思っています。

    あなたへのおすすめ