
マッチョ華道 ①
花の命は短くて夕方に開いた夕顔も翌朝には萎れているのであった。
「ほんの半日だから」
貴公子は随身のマッチョに頼んだ。
「私が行きずりの女との逢瀬を楽しむあいだ、お前の筋肉の窪みにオアシスを置いて花を生けさせてはもらえないか。蛍が光を発しながら花と戯れるさまはさぞかし趣きがあろうから」お安いご用ですと請け合ったマッチョであったが、流石に一晩ずっとポーズを決めているのは退屈だし、だんだんと眠たくなり何より疲れてきた。
「ねえ」
オアシスに生けられた夕顔が話しかけてきた。「アタシがサッサと枯れれば楽だと思う?」NO以外に答えようがない。
「大丈夫よ少しくらい動いたって。というか」夕顔はルネサンスふうの肉体美像の筋肉の窪みに造花をのせると
「さあ逃げましょう」
とマッチョに持ちかけた。
「そりゃマズイって」
だが夕顔は艶然とウインクするのみ。仲間の蛍軍団に目で合図したのだ、貴公子の愛人の生霊らしく振る舞えと。
マッチョの花道であった。
こちらに参加しています。