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[毎SS]積読美術館(約410字)

    攻略難易度 D

    未読の無念が集まる美術館。図書館ではない。
    一年読まれなかった本には魂宿り、十年読まれなかった本には怨念宿る。
    気をつけよ。
    表紙という軛くびきから一度ひとたび解き放たれれば、紙片は蝶となり、書物は張子の虎となる。
    蝶は鱗字粉を撒き散らして思考をぼやけさせ、虎の牙は魅惑の字毒を君に流し込むだろう。
    しかし決して火と水とを用いてその美術館を無き者にしてはならない。

    徘徊する蝶と虎とを潜り抜けた先の書物の中には、希望が、ある。
    絶滅したはずの動植物。
    奈落に幽閉されたはずの女神。
    金銀財宝を煮込んだスープ。
    宇宙の真理をつぶやくパソコン。
    怨念宿る無量大数の一握りに、未明の望みが見つかるだろう。
    君はそれら一冊一冊の誘惑に囚われて無限に孤独を溶かしてもよいし、砂漠に米一粒を求めるように積読の間を彷徨ってもよい。
    ……積読の迷路の陰で、字毒にやられた何者かがこちらを伺っている。


    クエスト「彷徨するは貴書の芳香」を受注しました。


     田原にかさんの毎週ショートショート、48回目の参加です。

     果たしてフレーバーテキストはショートショートたるか。
     線引きの難しいところではありますが、私は自由を取ります。
     ダンジョンの説明や、クエストの詳細文などのフレーバーテキストには、書き手のセンスがモロに出ますね。修行不足を感じました。
     『ダンジョンエルフ』という、長命のエルフがダンジョンに宝箱を置く話を描く一風変わったマンガがあるのですが、そのダンジョンの紹介文が簡潔で力強さを持っているのですよね。フレーバーだからこそ、匂い立つ一行を求めてやみません。
     で、そんな魂込めた文章が積読されていれば、そりゃあ怨念も宿るってもんですな、ワハハ。

     面白いと感じた方は、スキやコメント等、よろしくお願いします。
     作者の励みになります。
     それでは、また来週のショートショートで。

     
     
    マガジン[4×9+8×9=108] 編集長 兼 ライター 雷藤和太郎 掌編小説、エッセイを連載中 現在、長編小説を準備中 ライターの修行風景はTalesにて 現在の目標①「2026年中にnoteで収益化を達成」      ②「長編小説を書き、一次選考を突破」

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