
「ただの難聴」だと思っていたら、脳に腫瘍が見つかった話 ~同じ悩みを持つ方へ
突然ですが、私は今、左耳がよく聞こえません。
いわゆる「難聴」なのですが、昨年、その原因について診断を受け、かなりのショックを受けました。
あまりのショックにXに弱音をポストしてしまうほど。
しかし、埼玉医科大学病院の先生と話すことで、現在の症状に向き合う事ができました。
その時、フォロワーの皆さんに心配をかけ続ける訳にはいかないと長文のポストを書いたのですが、病名で検索したであろう方がたまに「いいね」をつけてくださいます。
意外とたくさんの方にポストを見ていただき、心配して声をかけてくださってありがとうございます。
— sige (@sige_groove) July 4, 2025
今日、埼玉医大病院へ行ってきました。
病状は「左聴神経腫瘍」と診断されました。
脳内にある、左耳の聴覚神経を覆う膜に良性の腫瘍ができて、神経を圧迫している状況。… pic.twitter.com/XTA2r6fUZd
その様子を見て、noteに書いた方がいつでも参照できるかな、と思っていました。
ちょうど、「#身体についてのひとりごと」というお題が始まったことを受け、ポストの内容をnoteに詳しく書き直しました。
私がどのように「左聴神経腫瘍」という診断を受けたのか。
診断されるまでどんな気持ちだったのか。
今はどんな状況なのか。
それに加え、同じ病名を診断された方へのメッセージや、現在両耳が健康に聞こえる方への忠告も書いてみました。
特に、「聴神経腫瘍」や「脳腫瘍」を診断された方へ。
私のような人もいるのだな、という感じで読んでいただければ嬉しいです。
そして、このnoteを読むことで少しでも不安が取り除かれることを祈っています。
左耳の違和感から始まった異変と「突発性低音難聴」
4年ほど前から、左耳が聞こえづらくなってきました。
ある日、お風呂に入っているときに耳が詰まるような感覚があり、それがなかなか回復しないことに気づきます。
気になって調べてみると、難聴の疑いがある場合はすぐに病院へ行くべきだとのこと。
しかし、タイミングはゴールデンウィーク直前。
とはいえ放置するのも不安だったため、なんとか耳鼻科を受診しました。
そこで検査を受けたものの、「耳掃除のしすぎではないですか?」と言われ、耳浴用の点耳薬を処方されました。
そうは言われても、自分としてはそのような心当たりはなく、案の定、薬の効果も感じられませんでした。
ゴールデンウィーク明け、改めて別の耳鼻科を受診しました。
今度は、地元で難聴の診察に定評があるとされる病院です。
そこは聴力検査のためのやや大掛かりな検査機がありました。
どの周波数が聞き取り難いのかまで調べられるのです。
通常の健康診断で受ける聴力検査は、高音、低温が聞き取れれば終わりですが、それに加えてホワイトノイズ(シャーッという音)に交じって音が出るのを聞き分けるテストもありました。
結果はすぐに出て、それを元に「突発性低音難聴」と診断されました。
今度は飲み薬が処方されました。
難聴と診断された方なら分かるかもしれませんが、あの独特な味のシロップ「イゾバイド」。
医師からも薬剤師の方からも「少し美味しくないかもしれません」と言われました。
シロップなので、甘い…は甘いのですが、少し苦みも感じる。
あの味をうまく伝えるのが難しいのですが、なんとなく「サントリーホワイトウィスキー」のような味ではないかと。
確かに朝昼晩飲むのはしんどいですが、慣れてしまえば特に味は何とも思わなくなりました。
薬を飲み続けることで症状はやや軽くなりましたが、完全に元に戻ることはありませんでした。
「もう治らないのかも…」とショックを受けながらも、その現実を受け入れるしかありません。
日常生活への影響と再検査の決意
それからしばらく経ち、徐々に生活に支障が出始めます。
会話が聞き取りづらくなってきたのです。
年齢の影響もあるかもしれませんが、特に飲み屋などの騒がしい場所で会話を聞き取るのが難しくなってきました。
このままではいけないと思い、補聴器の使用も視野に入れつつ、隣町にある聴覚を専門に扱う耳鼻科で検査を受けることにしました。
これまでと同様、やや詳細な聴力検査を受けた後、主治医から「MRI検査も受けてください」と言われました。
MRI検査は何度か受けたことがあります。
寝たまま体を固定され、顔の周りを謎の器具で覆われた上で、断続的に機械音が響くマシンに入れられるのです。
耳栓をしてもはっきり聞こえる程なので、かなり大きな音なのでしょう。
しかも、マシンの稼働中は決して目を開けてはいけない。
(脳内の撮影に影響するからだそうです)
何かと強制事項が多い検査ですが、閉所恐怖症の方にとってはまさに「恐怖の時間」。
検査係の方から事前に注意を受け、「怖くなったらこのボタンを押してください」と言われるほどです。
ただ、物騒な機械音は一定のリズムで流れるので、ダンスミュージックが好きな人には苦痛を感じず、むしろ楽しいでしょう。
機械音がグルーヴを生み出すのです。
私も長年ドラムをやっているので、MRI検査は脳内で「マシンとのリズム合戦」を行う場です。
話が脱線しましたが…
当然、耳鼻科にMRIのような大掛かりな医療機器はありませんから、日を改めて近隣のやや大きな病院でMRI検査だけ受けることになりました。
思いもよらなかった診断結果
検査を受け、その結果を耳鼻科に持参すると、そこで思いもよらない診断が下されました。
脳内に良性の腫瘍があり、それが大きくなることで耳の神経を圧迫しているというのです。
つまり、左耳が聞こえづらい原因は、脳腫瘍にあったのです。
埼玉医科大学での診察を勧められ、紹介状を書いてもらう事になりました。
各都道府県にも、街の病院から紹介状を書いてもらわないと受診できないような、一番大きな病院があると思います。
埼玉県は「埼玉医科大学病院」がそれにあたります。
埼玉県民なら多くの方がご存知かと思いますが、「埼玉医大への紹介状を書いてもらう」という言葉だけで、どれだけヤバい症状なのかが一発で分かると思います。
耳鼻科の先生からは「場合によっては開頭手術の可能性もある」と説明を受けました。
私は生まれてから今まで、ありがたいことに大きな病気もしたことがないですし、手術はもちろん、入院すらしたことがありません。
それが、初めての入院、手術がかなり重い部類に入る「開頭手術」。
その言葉を聞いただけで、「頭を開ける」という事は容易に想像がつきます。
かなり大きな手術になるでしょうし、術後今までと同じような生活が送れるかどうかもわかりません。
「不安になるな」と言われる方が無理と言うもの。
あまりの不安に、その時の不安な気持ちをXに吐露するほどでした。
◆
早速、次の土曜日に埼玉医科大学へ。
埼玉医科大学には両親がお世話になった経緯があります。
まさか私もお世話になろうとは思いませんでしたが…
散々通った病院ではありますが、2か所だと思っていた病院が実は3か所あったとは知らず、間違えて違う病院に行ってしまいました。
慌てて正しい病院に行きましたが、土曜日は脳神経外科の専門医が緊急対応しかしておらず、平日に来た方が良い、とのこと。
ただ、仕事の折り合いがつかず、有休をとれたのが1か月後。
その間はずっと不安なままでした。
近いうちに大きな手術を受けなければならないのではないか…
音楽活動を再開する予定も延期せざるを得ないのではないか…
ラブライブ!のライブ現地参加もしばらくはできないな…
そんな不安が頭をよぎる日々。
それでも、意を決して再度埼玉医大へ…
そこで詳細な説明を受け、自身の状態と治療方針について理解することができました。
左聴神経腫瘍の診断内容
その日の診察は、脳神経外科の先生からお話を聞くだけでした。
診察の結果、私の病状は「左聴神経腫瘍」と診断されました。
説明によると、聴神経は外膜で覆われた束のようなものなのだそう。
その神経の内部に腫瘍が発生し、徐々に大きくなることで神経を圧迫しているとのことでした。
腫瘍は良性。
良性腫瘍は徐々に大きくなりますが、悪性腫瘍とは違ってその物自体が悪影響を及ぼすことはなく、転移もしません。
聴神経については、電線を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。
より分かりやすいのは、アンテナ線や、ギターのシールドのようなものでしょうか。
電線の外側を覆うゴムやプラスティックの内部に大きな「できもの」ができてしまい、内部の電線を圧迫する、ということ。
すると、うまく電気が流れなくなってしまうわけです。
これが左耳の難聴の原因であり、一般的な突発性難聴とは異なるメカニズムでした。
良性腫瘍は水分を多く含むため、利水薬が一定の効果を示すこともあるようです。
あのサントリーホワイトのような味の薬「イゾバイド」が利水薬にあたります。
しかし、薬を飲み続けても根本的な治療にはなりません。
また、腫瘍は年間1〜2mm程度のペースで大きくなる可能性があり、進行すると脳幹を圧迫し、しびれや麻痺といった運動機能障害のリスクもあると説明を受けました。
聴神経は一度ダメージを受けると回復はできないとのこと。
残念ながら、私の左耳の聴力は元には戻らないようです。
しかし、脳幹を圧迫されることにより、体が麻痺して動かなくなるかもしれない、と聞かされると、「そっちの方がヤバい」のは誰の目から見ても明らかです。
◆
治療方法としては放射線治療もありますが、完全に腫瘍を取り除くことは難しく、最終的には開頭手術によって圧迫部分を切除するのが最適とのこと。
一方、悪性腫瘍は放っておくと身体中に転移する恐れがあるので、事態は一刻を争います。
開頭手術している暇はないので、放射線治療が効果的。
しかし、良性腫瘍は効果がないわけではないですが、完全に取り除くことはできないので、一般的に開頭手術を行うことになるそうです。
手術では頭蓋骨に小さな孔を開け、脳脊髄液を調整しながら手術可能な状態を作り、脳幹を圧迫している腫瘍の一部を取り除いた後に閉創します。
脳は水分に満たされた状態で機能しています。
その水分を調節することは人体に影響はないそうで、腫瘍を露出させた状態で、脳幹を圧迫しているところだけを切除するのだそう。
穴を開けるのですから、恐らく外視鏡を使った手術になるのでしょう。
現代は内視鏡手術の技術が進み、人体への負担をできるだけ少なく抑えることができる手術が可能になりました。
私の父も2017年に肺がんを患い、左の肺の半分を切除したのですが、内視鏡手術のおかげで術後も元気に生活を送ることができていました。
でも、頭蓋骨に穴を開けるのですから、かなり大掛かりな手術になることは間違いありません。
ちなみに、穴を開けた部分はちゃんと塞がるそうです。
私の場合、現時点では緊急性はなく、手術は腫瘍が肥大化して脳幹を圧迫し、身体機能に異常をきたす兆候が見られてからで大丈夫だそうです。
その間、半年に1回のMRI検査による経過観察を行う方針となりました。
診断は2025年の7月に受け、その年の12月に再度MRI検査を行いましたが、腫瘍の大きさに変化はありませんでした。
現在も半年ごとのフォローアップを継続しています。
次回は6月ですね。
ただ、加齢の影響もあるかもしれませんが、左耳の聴力は日々悪化しているように感じています。
それでも、原因が明確になったことで、必要な準備や心の整理ができるようになりました。
病気への心構えと日々の過ごし方
検査を受けて原因を特定できたことは、自分にとって大きな前進でした。
結局、診察の日は先生と1時間ほど話し込み、わからないことを逐一質問したおかげで、病気への理解に繋がりました。
他の患者さんが待っていたかもしれないのに、大丈夫だったのかな?
それでも、脳内に腫瘍があるという事実は、たとえ良性であっても不安があるのは当然。
もし、同じ病状を診断され、すぐに手術が必要にな方にとっては、家族の支えを受けながら主治医を信頼して臨むことが重要だと思います。
一方で、私のように猶予がある場合は、定期検査を続けながら、手術に備えた時間的・生活面での準備を進めていくことになります。
私は現在、左耳の聴力の衰えに不安はあるものの、それ以外の体調面に特段の変化はありません。
ただ気になるのは、ややまっすぐ歩けなくなってきている、という事でしょうか。
例えば、トレッドミル(ジムにあるウォーキングやランニングができるマシン)でウォーキングをしていても、どこかにつかまっていないと安定して歩けないのです。
12月に先生に聞いたところ、「影響はあるかもしれない」とのこと。
今後ひどくならないことを祈るばかりですが…
それ以外は、いたって健康です。
懸念していた音楽活動や、ラブライブ!のライブ現地参加も現状は継続できています。
定期的にトレーニングもできているし、過度に生活を制限することなく、体調と相談しながら無理のない範囲で過ごしています。
でも…身近な家族がおらず、独りぼっちなのですけどね。
手術の日にどうなっているかはわかりません。
突発的な難聴への心構えと注意
ここからは、現在健康で両耳が聞こえている方への警告です。
ある日突然、片耳が聞こえにくくなる「突発性難聴」は、20代から50代まで幅広い年代で起こり得ます。
聴神経は一度損傷すると回復は見込めません。
さらに、原因が特定できないケースも少なくありません。
もし片耳に少しでも異常を感じた場合は、ためらわずにすべての予定を後回しにしてでも、すぐに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。
早期にステロイド治療などを開始することで、聴力が回復する可能性があります。
難聴の影響は思っていたよりも大きく、日に日に不安は膨らむばかり。
イヤホンで音楽を聴いても右側からしか音が聞こえず、日常生活でも左側からの会話が聞き取れないなど、多くの支障があります。
最近は特に厳しいです。
街中で並んで歩いていても、左に並んで話しかけられても、何を言っているのかほとんどわかりません。
聞き返すのも失礼だし、笑顔で相槌を打つだけのこともよくありますが、これはコミュニケーションを取れていることにはなりません。
さすがに重要なお話は聞き返しますけどね。
もし相手が不振に思う事があれば、正直に左耳が聞こえずらいことをお話するしかないでしょう。
イヤホンについては、最近は「骨伝導イヤホン」が進化しています。
これなら、以前のように聞こえるかもしれない!と思い、実際に試聴してみました。
肌から頭蓋骨を響かせ、音を聴く仕組みですが、振動が聴神経に作用するようで、聞こえ方も通常のイヤホンとあまり変わらないようです。
ただ、最近のイヤホンはアプリで細かく設定ができるので、セッティングによっては耳穴に入れるイヤホンよりもよく聞こえるかもしれません。
それに、自転車走行中など外部の音を認識する必要がある場面では有効なため、購入を検討しています。
また、補聴器の使用についても考え始めました。
原因が原因なので有効かはわかりませんが、次回の検診の際に医師に相談してみようと思います。
◆
私の友人も難聴であることを最近知ったのですが、大きな病院の、その道の権威である先生にも診察をお願いしたそうです。
その先生は、「みんな目が見えなくなるとすぐ病院へ来るのに、耳が聞こえなくなってもなかなか病院に来ないんだよね」と言っていたそうです。
埼玉医大の先生も、「聴神経と視神経は一度ダメージを負うと、回復はできない」と仰っていました。
なので、目ももちろんですが、耳が聞こえなくなったら、まずはすぐにでも病院に行きましょう。
でないと、私のように片耳しか聞こえない日々を送ることになりますよ。
同じ悩みを持つ方へ
良性とはいえ脳腫瘍と診断され、経過観察の中で不安を抱えている方も少なくないと思います。
そうした状況においては、医師を信頼し、その指示に従っていくことが何よりも大切だと思います。
私も「脳腫瘍」という言葉を聞いただけで、かなりの不安を覚えました。
しかし、先生とお話して病状を理解でき、不安を軽減することができました。
近い将来、大きな手術をすることになるでしょう。
それがいつになるかはわかりませんし、このまま腫瘍が大きくならずに済むこともあるかもしれない。
不安はありますが、できてしまったものは仕方がないので、運命に抗わずに受け止めようと思っています。
現代医学は驚くほどに進化を遂げていますし、同じ手術を行った方もたくさんいらっしゃると思うので、データも豊富にあるでしょうから、最悪の結果が待ち受ける、と言う可能性は極めて低いと思います。
私も不安な中、ネットでいろいろ調べて勉強しましたが、診断を受けた時点ですぐに手術が必要な方もいらっしゃいました。
この記事が、同じような症状や病気で悩んでいる方の不安を少しでも和らげ、共感につながるきっかけになればうれしいです。
症状や治療法は人それぞれだと思うので、主治医の先生とよくお話し、できるだけ不安を払拭してもらえればと思います。
今後も自身の経験や情報を発信しながら、同じ境遇の方々とつながり、支え合っていけたらと思っていますし、また状況が変わったらレポートしたいと思います。
※タイトル画像はGemini(Nano Banana2)にて作成しました。