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「こんなん貸してええんかなぁ。」【もう一つの我が家。#3】

※初めてこられた方は1話からどうぞ
マガジン【もう一つの我が家。】に
まとめています。

「家を貸してください。」

人生で、

あんなに緊張したお願いは、

後にも先にもありません。


⸻

土曜日。

約束の日でした。

妻と二人で、

大家さんのお宅へ向かいます。

教えていただいた住所には、

立派なお屋敷がありました。

「……ほんまにここ?」

思わず、

妻の顔を見ます。

インターホンを押すと、

おばあちゃんと、

息子さんご夫婦が迎えてくださいました。

居間へ通していただき、

持ってきたお土産をお渡しします。

そして妻が、

ここまでの経緯を話しました。

Googleアースで家を見つけたこと。

実際に歩いて探したこと。

どうしても、

あの古民家が気になったこと。

そして最後に、

「もしよろしければ、

あの古民家を貸していただけませんか。」







静かな時間が流れました。


当然です。

見ず知らずの夫婦が突然訪ねてきて、

「家を貸してください。」

と言っているのですから。


その時でした。

私は咄嗟に、

財布から免許証を取り出しました。

続けて、

会社の名刺も。

「こういう者です。」

あの時は、

それくらいしか、

私たちの誠意を伝える方法が

思いつきませんでした。


⸻

 
 
46歳、会社員。仕事や家族、日々の「あれ?」から、自分らしい判断基準を育てる「MyOS」を書いています。 毎日、一葉ずつ。 はじめての方は、固定記事#130へぜひどうぞ。

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