
科学の扉をのぞいてみた |理化学研究所神戸 一般公開で出会った世界
小雨の降る10月4日、久しぶりに友人と理化学研究所神戸の一般公開へ
出かけました。
普段はなかなか足を踏み入れることのない“研究の現場”。
その扉をのぞくだけで、少し背筋が伸びるような気がします。
受付開始の10時前に着くと、すでに数十人の行列が。
受付を済ませたあとは、一部のラボツアーやワークショップの整理券を求めて並びましたが、あっという間に午前中の整理券がなくなっていきます。
なんとか1枚を確保できたので、それまでの時間は整理券不要のラボを見て回ることにしました。
理化学研究所神戸は「東エリア(MI棟・IIB棟)」と「南エリア」に分かれており、この一般公開に合わせて、近隣の大学や医療機関、企業も「神戸医療産業都市」として公開を行っていました。
街全体が“科学フェス”のような雰囲気で、歩くだけでもワクワクします。

まずはIIB棟へ
最初に向かったのはIIB棟。6階では“中高生のための特別授業『今、神戸でアツい科学』”が行われており、1限目を最後まで聞いてから階下へ。
5階では質量分析装置を見学しましたが、装置の前には人だかりができていたので、チラッとだけ見て次のラボへ移動しました。
微生物ラボが面白かった!
一番ワクワクしたのは、目に見えない世界が一気に身近になった瞬間
でした。
特に印象に残ったのは、「微生物の世界を見てみよう」という展示。
酵母やドアノブに付着した雑菌に唐辛子などの嫌悪物質を培養トレーに
入れ、その反応を見せてくれました。さらに、実験に使われる“億単位”の
高額な装置も間近で見ることができました。
研究員の方によると、高度な装置を導入すれば人が行うより迅速に作業できますが、予算や人材の問題で大量導入は難しいとのこと。
そこで、既存の人型ロボットとPythonなどのプログラミングを組み合わせてインハウス装置を開発し、高度な装置には劣るものの、若手研究員でも扱えるようになったそうです。
私たちの食卓に並ぶ多くの食品が酵母や乳酸菌などの微生物を利用しているのは知っていましたが、こうした実験や工夫を通して新しい製品が生まれていくのだと思うと、本当に面白いなと感じました。
研究ロボット「まほろ」とスパコン
可愛らしい見た目とは裏腹に、研究現場を支える頼もしい存在でした。
3階では研究ロボット「まほろ」が展示されていました。人の腕のように滑らかで素早い動きに感心。見た目の可愛らしさとは裏腹に、きっと高額なんだろうなぁ…と思いつつ見入ってしまいました。

その後は1階へ移動し、「分子シミュレーション専用スパコンMDGRAPE-4A」を見学。
間近でスパコンを見られる機会はなかなかないので感激でした。動作音は大きかったですが、案内員の方がヘッドホンをしていたのも納得です。
MI棟のラボツアーへ
ツアーの時間まで少し余裕があったのでランチ休憩。ちょうど混雑の波が引いたタイミングだったようで、ゆっくり座って友人と談笑できました。
次は、整理券を手に入れた「線虫観察ツアー」へ。開始までの間、線虫に関するクイズや説明を聞き、ツアー中は顕微鏡で実際に線虫を観察しました。
線虫には雌雄両生の個体がいて、自ら子孫を増やせるのだとか。また、遺伝子異常によって変異体が生じ、丸々太った個体や、円を描くようにしか動けないものもいるそうです。
テレビCMで線虫を使ったがん検査のことを知っていましたが、実際にその動きを見てみると、ぐっと親しみを感じました。
いよいよ南エリアへ ― スーパーコンピュータ「富岳」を見た!
東エリアの見学を終えたあと、次は南エリアへ。「富岳」を見に向かいます。
5階までは階段(4階分)と廊下、さらにもう1階分の階段と、なかなかの道のり。
最近少し足腰が弱ってきた私には、ちょっとした運動になりました。
先に続く階段を一段一段登り、やっと目的の階に辿りつきました。
しかし、ドアの中に入った瞬間、その疲れも吹き飛びました。
目の前にはずらりと並ぶスーパーコンピュータ「富岳」!「京」の時は
ガラス越しにしか見られなかったので、今回は間近で見られて本当に感動しました。
研究員の方々の説明を聞いたり、「富岳」の前で記念撮影したり、見学者もみなさん思い思いに楽しんでいました。
その後、6階の講堂ではスパコンを活用した研究紹介もあり、「富岳」が多方面で役立っていることを実感。今回の一番の目的を果たせて、大満足の見学となりました。

神戸大学の一般公開にも立ち寄って
理研のあと、神戸大学の一般公開にも行きました。クイズラリーに参加したり、学生さんたちと話したりして楽しいひとときに。
講演会に行けなかったのは少し残念でしたが、また次の機会にと思います。
行ってみての感想
これまで何度か理化学研究所の一般公開に行っていますが、行くたびに新しい発見があります。
今回は以前よりやや規模が小さく感じたものの、研究の世界の奥深さを改めて実感しました。
研究は日々の積み重ねで、成果が出ることもあればボツになることもあります。
私もかつて企業の研究部門にいたので、研究員の方々の努力や苦労が少しはわかります。そんな背景を思い出しながら、こうして社会に還元されている姿を見ると胸が熱くなります。
来場者の中には小さなお子さんも多く、最初は興味がなさそうでも、クイズやワークショップで夢中になっている姿が印象的でした。
ラボツアーで目を輝かせる子どもたちを見て、「この中から未来の研究者が生まれるかもしれないな」と、そんな期待を抱きながら会場を後にしました。
研究の現場を間近で見て、子どもたちの目の輝きを見て。
科学は遠い世界ではなく、静かに未来をつくり続けているのだと感じた一日でした。