
【読書記録 -186】Q思考:シンプルな問いで本質をつかむ思考法
違和感センサー
ボクは敵を作りやすいタイプだ。
それは、気になったことをすぐ口にしてしまうことが原因であることは自分でもわかっている。「それって〇〇じゃないんですか?」とか「その△△の定義はなんですか?」とか。
ボクはそれに「違和感センサー」という名前を付けている。
そのセンサーに引っ掛かった違和感を、ボクは言語化しなければ気が済まない。いや、気が済まないというより、それがボクの存在価値だと思っている。それは、実際には言語化というほど大げさなものではなく、「ネーミング」や「ラベリング」に近いかもしれないけれど。
ただ、そのネーミング(ラベリング)は誤解を生みやすい。そして、ボクとしてはシンプルに疑問を呈しているだけの「それって〇〇じゃないんですか?」は反駁と捉えられてしまうことが多い。
だから、ボクがあちこちで違和感センサーを発動させると、あちこちから反感を買い、きっと陰で非難を浴びているのだろうと思っている。
AIに勧められた本
さて、先日とあるビジネス書を買った。
しかし、その本は「逆積読」の特徴を多く備えた本であったため、ボクの「違和感センサー」が発動することとなった。
違和感センサーが発動すると、言語化しなければ気が済まない。だからそういうときは、ボクはChatGPT相手に「どこに違和感があるのか」を事細かに訴えるのだ。だって、人間だと聞き入れてくれる相手がいないからね。
そんなやり取りを繰り返していたところ、ChatGPTから「この本を読んでみるといいですよ」とお勧めされたのが『Q思考:シンプルな問いで本質をつかむ思考法』だったのだ。

本書の著者 ウォーレン・バーガーは、ハーバード・ビジネス・レビューやワイヤード誌、ファストカンパニー誌などに多数の寄稿をするジャーナリストだ。
彼の著書を読むのは初めてだが、圧倒的な取材力による引用の多さと「ネーミング」の面白さは、読者を惹き込む魅力があると感じた。いい意味で最後の最後まで気が抜けない一冊だ。
「答え」ではなく「質問」
本書の邦題は『Q思考:シンプルな問いで本質をつかむ思考法』だが、原題は『A More Beautiful Question: The Power of Inquiry to Spark Breakthrough Ideas』だ。直訳すると『より美しい質問:突破力のある思考に火をつける探求力』となるようだ。
― 美しい質問 ―
ウォーレン・バーガーは、本書の中で一貫して「なぜ?」「もし~だったら?」「どうすれば?」という3つのアプローチで物事を考えることの重要性を説いている。
ジョン・クーニオスという神経学者の研究によると、人間は「事なかれ主義」で生きることによって、精神的エネルギーを節約できるそうだ。それによってマルチタスクができるようになり、日々の仕事が単調であってもそれを乗り越えることができるようになるそうだ。
そして多くの企業は、あまりに多くの質問が発せられると、集中力が削がれたり、企業文化に波風が立つと考える。だから企業は、疑問ではなく答えを扱いたいと考えるのだ。
テクノロジーの進歩によって、人は簡単に答えを得ることができるようになっている。それは印刷技術の進化から始まり、輸配送網やインターネットの普及、そして現在においてはAIの急速な進化だ。
だが、意外なことに(テクノロジー系の超有名企業の創業者である)ジェフ・ベゾスやセルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジは、子供のころから「なぜそうじゃなきゃダメなんだろう?」と考える探求型の思考法の実践者だったそうだ。
すぐ行動に移すことの重要性
本書で取り上げられている「マシュマロ・タワー」の実験結果は興味深い。
それは、少人数のチームで、未調理のパスタ、糸、テープを使って、制限時間内にできるだけ高いタワーを組み立て、頂上にマシュマロを挿してその高さを競うという実験(ゲーム)だ。
主催者は、そのゲームを幼稚園児とハーバードMBAの大学生で競わせたそうだ。当然、学生たちは分析的なアプローチから入り、議論と討論を重ねながらタワー制作に取り組んだが、幼稚園児に勝つことはなかったそうだ。
それは、先の見えない状況下において「もし~だったら?」の可能性を考えるのに時間をかけ過ぎるよりも、上手くいきそうな組み合わせを(思いつくたびに)次々と試していく方が成功しやすいということを示唆している。
ひょっとすると…
ウォーレン・バーガーのいう3つのアプローチの内の「なぜ?」と「どうすれば?」は、すでにAIにとって代わられているのではないだろうか。
いまや「なぜそうなのか?」はAIが適切な文章にして出力してくれる。そして「どうすればいいのか?」も、様々なテクノロジーが先回りして備えてくれる時代じゃないか。
そうなると、残っているのは「もし~だったら?」しかないのかもしれない。
参考リンク
Amazon『Q思考:シンプルな問いで本質をつかむ思考法』