ビル群の隙間に浮かぶ銀の皿 スマホを置いて夜へ溶けゆく
ケータイの画面を閉じて街の闇ふと見上げれば月影ひとつ
液晶を伏せた夜更けのベランダで届かぬ月を胸に吸い込む
息白くほどける夜のベランダでひとり静かに月を見上げる
湯気消えたマグカップ抱きベランダで遠いあなたと同じ月見る
「見てごらん」届いた文字に顔あげて同じ月夜の光分け合う
夜の底スマホを置いて想うのは君もどこかで月を見るかと
液晶の青を脱ぎ捨て見上げればしじまの中に満ちてゆく月
街あかり消えぬ夜空の白き月 孤独の頁に挟む栞よ
ケータイの画面を伏せて見上げる夜 欠けた月にもあなたは満ちて