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宛先不明

    郵便局に、奇妙な手紙が届いた。

    宛先には「落とし物の持ち主」とだけ書かれている。

    住所も名前もない。

    差出人は「未来」。

    局員は困った。

    「これ、誰に届ければいいんでしょう」

    上司は封筒を開いた。

    中には一枚の紙。

    『あなたが落とした可能性をお預かりしています。返却をご希望の場合は、昨日と違う選択をしてください』

    「昨日と違う選択?」

    局員は首をかしげた。

    その日の帰り道、いつもは通らない道を歩いてみた。

    角を曲がると、小さな喫茶店があった。

    何となく入ってみる。

    そこで、十年ぶりに幼なじみと再会した。

    翌朝、郵便局に新しい手紙が届いた。

    宛先は、昨日と同じ。

    差出人は「過去」。

    『余計なことをしてくれましたね』

    局員は、しばらく封筒を見つめた。

    そして、配達不能の判を押した。


    こちらの企画に参加させていただきました

    #拝啓文芸部
    #落とし物の持ち主
    #ショートショート
    #短編小説
    #不条理SF
    #すこしふしぎ
    #過去と未来
    #人生の選択
    #宛先不明

     
     
    猫を眺めたり、仕事をしたり、日常の小さなことを考えたり。こう見ると少し面白い、を気ままに書いています。

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