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Photo byxxnashimexx

日本の新聞だけでは、見えてこないこと ―フランスでの略奪事件を、異なる報道から読む

    10月21日付のニューヨーク・タイムズは、今回のフランスの暴動について、次のように報道した。(私の気になった部分を中心とする要約)

    フランスの暴動では、セリーヌ、エルメス、ルイ・ヴィトン、サンローランなどの高級ブランド店が襲撃され、窓ガラスやショーケースが壊され、商品が略奪された。

    高級ブランドは、SNSや有名人を通じ商品を買えない人々の憧れを広げる一方、大多数の人にとっては、到底手の届かない水準まで価格を引き上げてきた。

    そして、多くの若者はその憧れの世界から排除されたと感じ、羨望や強い憤りを抱いていた。

    豪華な店舗の窓を壊す行為により商品を奪うことで、略奪者たちはそれまで手に入れられなかったものを得ることができた。

    職人技や伝統を掲げる高級ブランド品は、こうした状況では、過剰な富や資本主義の腐敗を象徴するものとなる。

    一方、ロイターは略奪品がネットで売りに出されていること、中古品売買サービスのVintedは、関連すると疑われる出品を削除し、監視を強めたと報じている。

    フランス政府も運営企業や関係当局との対応を協議するとした。

    二つの記事を読むと、同じ略奪の現場にも、異なる背景や目的を持つ人々がいたのではないかと、私は感じた。

    排除への怒りを抱いた若者もいれば、換金を目当てにした人もいたかもしれない。

    ニューヨークタイムスの記事だけで略奪の背景を理解したつもりになるのも、転売の報道だけで金目当てだったと考えるのも、この問題の本質を理解するためには不十分なのではないか。

    その一方で、日本の大手新聞で私が目にした記事は、暴動や略奪の概要のみを伝えるものが多く、襲われた店の具体名はともかく、略奪者の背景に触れたものはほとんどなかった。

    せいぜい、若者の教育に関する不満程度であった。

    日本の新聞記事だけを読んでいたら、今回のような疑問も浮かばなかったのではないか。

    海外の新聞記事なら正しい、ということでもない。

    事実と解釈を分け、疑わしい情報は確かめながら、複数の視点で読む。

    書き手の見方や政治的な立場によって、何が強調され、何が抜け落ちているかも考える。

    出来事が分かりやすく丸められたとき、その輪郭から何がこぼれているのか。

    悩ましいことばかり。

    但し、混乱した現世を歩いているからには、我々は日々、複数の情報ソースと自分自身のモノを診る物差しを、磨かいていかねばならないことを再認識した次第。大変だ!

     
     
    61歳で36年務めた会社を辞め、現在は母親介護(週1程度)、コンサルタント、家事等を含め前向きなセカンドライフを楽しむ。愛妻との二人暮らし。自然の中でぼーっとすること、海外バックパッカー旅が大好きな自由人。

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